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さて、FIREをもう少し具体的に書くと、そこそこのお金を貯めたらさっさとリタイアして、株や債券、不動産等の資産から実質4%以上の配当金や家賃収入のパッシブインカム(不労所得)を得ながら最低限の生活基盤を維持し、一方でプレッシャーや束縛のない環境で好きな仕事を続けながらセミリタイア生活で生きていこうという、もともとはアメリカで人気が出てきた考え方です。

80年代前半に私はアメリカで2年間を過ごしたのですが、当時はFIREのような考え方はなかったように思います。むしろ、当時のアメリカでは、ベンチャービジネスの起業等で成功してIPOで大きな富を得た人などがアーリーリタイアし、人生をエンジョイするというのがアメリカンドリームでした。

しかし、これには多くの人が同じように成功できるという再現性がほとんどありません。そこでFIREの考え方は、そんな一部の人しか実現できないような夢を追うのでなく、もっと現実的な方法により、早期の経済的自立を実現し、セミリタイアして思う通りに生きようというものです。

もっとも、私から見れば、結局のところは昔のアメリカンドリームの単なる縮小ミニチュア版であり、確かに多くの人が実行できるかもしれませんが、余裕がない分、綱渡りをするようにリスクも大きくなったわけで、失敗する可能性も高いように思えるのですが...。

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ちなみに、これはFIREに関する3つの人気書籍に書かれてある、それぞれFIREに成功した人たちの例です。私は全部読んだわけではありませんが、著者のアメリカ人は約1億4,000万円、カナダ人は約8,000万円、そして日本人の場合は7,000万円の資産を作った後でFIREしたということです。

FIREの理論によれば、必要生活費の25倍の資産形成をしてからFIREするということです。すなわち、自分の資産から毎年4%のパッシブインカムを得て生活費をまず確保するというのがベースになっているのですが、上の7,000万円の日本人の例だと、4%は年間280万円なので月額23万円ほどの収入ということになります。確かにこれだけあれば、最低限の生活費として不足しないだろうとは思いますが...。

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しかし、それにしても彼らは30歳前後でこれだけの資金を作っているところがすごいですが、大企業や外資系等で働く高給取りでかつせっせと貯蓄に励み、さらに運よくこの10年で3倍にもなった米国の株価上昇トレンドに乗ってうまく資産運用で増やすことができていれば、そう珍しい話でもないのかもしれません。

それに、日本でも今は個人資産も増えてきていて、金融資産1億円程度ではプチリッチと呼ばれ、まだ富裕層の入り口でしかないということで、こういう人は案外多いようです。

次回に続く