the bloom

ちょうどオンヌットとプラカノーンの不動産市場について、プラスプロパティの市場予測を基に私の考えを書いたところなので、それに関連して少し具体的な話を書いてみます。

本来、私は仲介はやらないのですが、実は今、日本のクライアントの依頼でプラカノーン駅近くにある3ベッドルーム、88㎡の売却を手掛けています。

この物件の売値は80,000バーツ/㎡以下と本来の相場より2割以上安いことから、今の市場であってもこれなら何とか売れるのではないかと思い、2ヵ月ほど前から売主に代わって売却の広告を出しています。

別にこれでガツガツ儲けようというつもりもないので、買主からは仲介料を取らないし、最初からタイ人業者のコーエージェントも使って幅広くマーケティングもしているのですが、残念ながら、この物件に興味を示すのは投資目的のバーゲンハンターばかりで、予想していた以上に今のマーケットは厳しいと実感しているところです。

私は部屋の鍵を預かっているので、内見のために来た見込客といつもロビーで待ち合わせするのですが、一目見ただけですぐバーゲンハンターだとわかります。それはタイジーンと呼ばれる中国系タイ人で東洋人の顔をしているからで、こういう時の底値買いは本来中国人がもっとも得意とするものです。

実際、室内を見せながら話をしてみると、やはり他に4つも5つも賃貸物件を持っていて、日本人や欧米人に賃貸しているというのですが、この物件も安く買って賃貸するつもりなわけです。

しかし、こういうバーゲンハンターの餌食になったら、既に十分安値になってるのに、さらに大きな値引きを取られてしまうだけなので、あまり期待できません。

要するに、今は買う方にとっては底値買いのタイミングですが、逆に売る方にとっては最悪期が続いているわけで、平常時の相場価格で売りたければ、やはりオーナーオキュパイアーの購入需要が戻ってくるまで我慢して、時期が来たら新築並みにリファビッシュして売り出すのが一番だと思うのです。

ちなみに、私は2019年末までにアソークやトンローの投資物件、計5ユニットを利食ってきたので、今所有しているのはオンヌットの自宅だけです。そして、その自宅は一時700万バーツ近くまで値上りしていたのですが、今売りたければ買値の500万バーツ近くまで買い叩かれるのではないかと思っています。

といっても、自分で住んでいるので売る必要がないし、駅前ということもあってあと数年もすれば価格も戻ってくるだろうと楽観視しています。また、このプロジェクトの所有者である他のタイ人の多くも同じことを考えているようで、全体で450ユニット近くあるプロジェクトなのに、実際にはどこを探しても数件しか売物件が見つかりません。それも、結構強気な価格で、売却を余儀なくされたフォーストセラーでないのがわかります。

一方、売却した5物件のうち2つはバイジョーング(購入予約権)の転売によるゲンガムライでしたが、他の3つについては中古物件だったので、大なり小なりリファビッシュしてきれいにしてからタイジーンではなく、自己居住目的のタイ人たちに買ってもらいました。

refurbish

特にトンローで格安で仕入れた、築4年ながらコーキングの施工不良による漏水でボロボロになっていた40㎡の1ベッドルームを徹底的にフルリファビッシュした話は「デザイナーを使った内装工事(その3)」で書いていますが、これも新築同然になった内装や眺望を気に入ってくれたタイ人アッパーミドルクラスの男性が、自分で住む住宅として喜んで購入してくれました。

このように、私自身も個人投資家としてやってきたので、バーゲンハンターの考えることは手に取るようにわかるし、際限なく値引を取ろうとか、利回りがどうのこうのという面倒な連中よりも、ロケーションや間取り、眺望や内装などから、自分が住みたいと思うかどうかを優先する自己居住目的の購入者の方が、少なくとも市場価格で買ってくれるのです。

従って、自己居住目的の実需が回復してくるまで待っていれば、バーゲンハンターが活躍できるチャンスは少なくなり、市場も安定してきます。もっとも、先日のバンコクポストによると、今はタイ人の実に9割が減収になっているそうで、将来の不安から自分で住む住宅だけでなく、投資物件に対する購買意欲も極端に縮小してしまっているので、まだかなりの時間が必要ですが…。

いずれにせよ、バンコクの不動産投資に興味がある人は、これから根気強くこれはという物件をプラカノーンからウドムスクにかけてのゾーンで探していけばいいと思うし、逆に物件を売却したい人は、もちろんロケーションやブランドといった物件のポテンシャルにもよりますが、有利子負債を抱えているのでなければ、大幅な値引きをするよりもあと2年くらい、家賃は安くても賃貸に出して少しでも家賃収入を得た方が得策であり、最悪の場合は空室のまま保有するのでもいいかもしれません。