外国人購入1

最近、不動産データセンターが2018年から2020年までの3年間に、タイのコンドミニアムを購入し引渡しまで受けた外国人の国別比率を発表しました。

これによると、他国を圧倒して過半数が中国人であり、デベロッパー各社がとにかく一刻も早く中国人個人投資家がタイの不動産市場に戻ってくるのを待っている理由がわかります。

ところで、これは著書でも書いているのですが、2016年後半ぐらいから急速に中国人によるタイのコンドミニアム購入が増え始め、それは2017年と2018年にピークに達し、2019年から下火に転じました。

そして、彼らの大半がいわゆるプレビルドと呼ばれる完成物件の先物買いを購入したことから、それらのプロジェクトがちょうど竣工引渡しを迎えたのが、2018年から2020年にかけてです。

その時に所有権が登記された物件数の国別比率を表しているのがこの表なのですが、これはまさに中国人投資家がピークだったころのシェアを表しているのであり、今後もこのように5割以上が中国人の状態が続くと思うのは多分間違いです。

いち早くコロナを克服し景気回復に成功していると自画自賛している中国ですが、これからは欧米先進国からの経済制裁や包囲網で逆境に立たされることになります。しかも、中国政府が抱える膨大な借金による財政破綻の危機や、不動産バブルの崩壊が噂されている中、当面は中国政府が資本の海外流出になる国民の海外不動産投資を容認するとは思えません。

さらに、このことはあまり指摘されませんが、中国の官僚や実業家等、本当の金持ちは大半がアメリカやオーストラリアの高額な不動産を買うし、現金で持つ場合でもアメリカやスイスの銀行に預けます。ほとんどタイの不動産に投資したり、銀行に現金を預けたりしません。

一方、2016年以降タイの不動産を大量に買っていた中国人のほとんどはミドルクラスです。北京や上海の住宅価格が上がりすぎてマイホームに手が届かなくなった人たちや、中国人観光客へ賃貸する投資目的で個人が買っていましたが、結局、タイの不動産、特にバンコクのコンドミニアムは中国人ミドルクラスが買う不動産市場なのです。

従って、この表にあるような、2017年と2018年の中国人個人投資家がコンド市場を席巻していた時代を、夢よもう一度とデベロッパー各社が期待していても、向こう3年ぐらいは中国人ミドルクラスが年間20万ユニットを優に超えるほどの勢いで戻ってくる可能性は低いのではないかと思うのです。

次回に続く