バンコク コンドミニアム物語

バンコクの不動産投資に関する情報発信

バンコクの不動産投資について、今起こっていること、これから起こること、そして投資のリスクや実践方法等、筆者自身も自己資金を使って投資しながら、その試行錯誤の中で得た経験を基に投資家目線で情報発信していきます。

今後の不動産マーケット予測

イエローライン、期待外れで投資家から総スカン!

オンヌット3

ラチャヨーティンへの延線中止

6月3日イエローライン開通、サムローンとオンヌットに注目!」で書いた新線イエローラインですが、昨日のターンセータギットによると、乗客が当初計画より少ないためにラートプラウからラチャヨーティンまでの延線計画は中止となったということです。

当初見込んでいた1日当たりの乗客数7万人に対し実際には4万人しか利用者がなく、さらに週末にはわずか28,000人しかおらず、これでは延線したところで採算が取れそうもないことから、民間部門の投資家はどこも出資に興味を示さなかったということで、断念に至ったようです。

もっとも、先日、チャチェンサオにドライブに行った帰り、シーナガリン通りを通ったのですが、イエローラインの工事が終わったことで道路がスイスイと流れているのに驚き、これからはグルンテープクリタやユニコグランデのゴルフ場が行きやすくなったと思った次第です。

開通後の不人気はパープルラインと同じ

ところで、2016年に開通したパープルラインもそうですが、開通後数年は人気がなく、新規の住宅需要を当て込んだデベロッパー達が大量のコンドミニアムを開発したものの、さっぱり売れず在庫処分に大幅値引きしていたのを覚えています。

これは私の最初の著書、「バンコク不動産投資・基礎編」でも書いたことですが、実は私も久しぶりの新線開通で注目されていたパープルラインの将来性に期待し、2012年にこの沿線でプリセールで2ベッドルームを2ユニット購入したのです。金額にして合計900万バーツ位だったと思います。

しかし、その後も沿線で各デベロッパーから続々と新規プロジェクトが売り出され、これでは相当な供給過剰になると判断した結果、それまで払っていたダウンペイメントの総額60万バーツ(240万円)をなくなく捨ててでもキャンセルしたのですが、今となっては正解だったと思います。

退場したら投資は終わり

さて、こんな調子で私の初めてのプレビルド投資は失敗に終わったわけですが、ただ、私も海外在住が長かったこともあり、ハワイのコンドやシアトルのアパート、ロンドンのフラット等、海外不動産投資で3億円の資産形成ができたので53歳の時にアーリーリタイアしたのであり、不動産投資の怖さと醍醐味は知っているつもりです。

株式投資も同じですが、経験を積んでくると不動産投資も一度の失敗に懲りて退場したりしないようになります。

従って、その後も私はバンコクで6物件に投資した結果、今の自宅を除き2019年までに5物件を売却しすべて利益を出せたのですが、今思えばあの時の失敗がいい経験と勉強になったと思っています。

イエローラインの将来性

さて、次に不動産投資先として見た場合、イエローライン沿線は将来有望なのかという点ですが、私はあまり期待していません。

以前にも書いたように不人気な東京の武蔵野線を思い浮かべればわかると思いますが、直接CBDにつながらない路線は結局乗り換えが必要であり、グリーンラインやブルーラインとは便利さが違います。(もっとも、武蔵野線は一応東京駅の端っこには行きますが…。)

従って、「イエローライン、沿線地価から読むポテンシャル」でも書いたように、今は沿線全体の地価が上昇しているようですが、そのうち止まるように思います。

投資先として見るのであれば、ジャンクションであるサムローン駅とオンヌット通りにぶつかるシーヌット駅はまだ面白いかもしれませんが、それ以外はどうしてもここに住みたいというのでなければやめておいた方がよさそうです。

ちなみに、昨日、AREAがいうところの買ってはいけないロケーションについて書きましたが、買ってはいけないとまではいわなくても、大して値上がりしないエリアもやはり不動産投資としては失敗です。

特に建物の経年劣化が速いタイでは、地価が平均以上に上昇しないところでは劣化に追い付けず利益が出せないことを考えると、他とは一味違うタムレ・トーング(黄金のロケーション)を選ぶ必要があると思うのです。

バンコクで不動産投資してはいけないロケーション


Bad location1

不動産市場回復は今も緩やか

しばらくぶりにバンコクに戻ってきて、不在であったこの1か月半の間にコンドミニアム市場でどんな変化があったかについて概観したのですが、残念ながら長いU字型回復の底辺状態が今も続いているようです。

昨年前半にやっと不動産市場は下落が止まり底打ちしたものの、今回のは根が深いので底の状態が長く続きなかなか抜け出せない、ということを以下の記事でも書いたので、興味があれば読んでみてください。

失敗しない海外不動産投資、タイ バンコク不動産購入のチャンスとリスク|東急リバブルウェルスアドバイザリー本部
海外不動産投資コラム。テーマは、バンコク不動産購入のチャンスとリスク。円安の影響は?現地デベロッパーのブランド力は?など、バンコクに移住した個人投資家が解説します。

LTV規制、金利上昇、与信基準厳格化でマーケットは三重苦状態

さらに、先週、タイ中央銀行がベース金利を引き上げた結果、とうとう過去10年で最高の2.5%となり、今年のGDPの成長予測も3.6%から2.8%へと引き下げられました。

一方、家計債務悪化により銀行の住宅ローン与信基準の引き締めも続き、LTV規制も緩和されていないことから、今後政府がよほどの市場回復策でも出してこない限り、今の状況は続きそうです。

また、金利差拡大で円安バーツ高もさらに進みそうであり、これも投資家にとって大きなマイナスです。

投資対象から外すべきロケーション

ところで、最近不動産調査会社のAREAが発表した、将来売却が困難になるので投資してはいけないエリアというのが上の地図で赤丸のついている①~⑩です。

また、これはワーストランキングなので、①から⑩に下がるに従って最悪度も下がっていきます。つまり、①のサーイマイは買ったら最後、なかなか売れないという最悪の場所であり、⑩はこの中では一番ましということになります。

彼らのコメントによると、将来余程のブレークスルーでも起こらない限り、これらは投資対象として将来性のないロケーションということであり、これからバンコクで不動産投資を考えている人は、今の内からこういうところは将来的にもダメなんだと頭に入れておいた方がよさそうです。

なお、投資でなく自己居住目的であっても将来の資産価値に影響するので、どうしてもそこでなければならないという場合を除き、やはりこれらは避けておくべきエリアです。

バンナー以遠は要警戒

ただし、ほとんどの日本人は⑦や⑩といった極端な郊外で買うことはないので、比較的都心に近い③、④、⑥、⑨といったサムットプラガンが関係ありそうです。

อันดับที่ 3 ทำเล H8: บางนา-ตราด
อันดับที่ 4 ทำเล H2: แบริ่ง วัดด่าน

特にワースト度が高い④のベーリングからワットダーンエリア、そして③のバンナートラッド周辺は要警戒ですが、実際、サムットプラガンは大雨でよく冠水するし、以前からタイ人の間ではあまり人気がありません。

しかし、以前このブログでも触れたことがあるのですが、サムットプラガンではなぜか最近、多くの中国人投資家が買っています。このエリアには中国人子女が通えるインターナショナルの学校があるからかもしれません。

いずれにせよ、日本人はやはりグリーンラインのウドムスクを過ぎたら無理して買わない方がよさそうです。

今後の投資にも役立つキンドル版の本の紹介

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パンデミックによる空白期間

2020年3月に始まったパンデミックですが、やがてバンコクでも長いロックダウンが始まり、なんだかんだで2022年末ごろまでコロナの影響が続いていたため、バンコクのコンドミニアム市場も3年の空白期間がポカっと空いてしまいました。

つまり、この3年間は不動産市場にとって失われた3年間でもあるのですが、今年になってコロナに直接の影響を受けない、やっと正常な事業環境が再開されたわけです。

パンデミック直前に書いた書籍

そこで、かねがね思っていたことなのですが、近い将来バンコクで不動産投資をしてみたいと思っている人にとって、私がパンデミック直前に不動産市場について書いた「バンコク不動産投資: 2020年の混乱市場を勝ち残るヒント」が当時の市場を理解する上で役に立つのではないかと思い、今回、再びサイドバーにアップすることにしました。

失われた3年間の後に始まることが書いてある

実際、今朝、当初の原稿を改めて読み返してみたのですが、過去のバンコクのコンドミニアム市場の大きな流れを解説していて、パンデミック直前までの市場の変遷が理解できます。また、2020年以降の不動産市場がどうなっていくかについて書いたものではありますが、この失われた3年間をないものとして考えれば、2023年からの市場予想にも役立つのではないかと思うのです。

もっとも、本書の中でそろそろバーツ高は終わり、円高に反転するのではという予想をしていたのが、実際にはその後さらに円安バーツ高が進んでしまって全然予想が外れたりもしているのですが…。

一方、郊外の廉価物件市場は与信却下が5割にもなる流れが続いていたり、CBDでも売れ行きは良くないことから、当時書いた「待つも相場、休むも相場なり」のスタンスで行くべきというのは参考になると思います。

市場の流れの読みが最重要

ちなみに、自称不動産のプロの人達が個別物件ばかりに焦点を当て、これがいいのあれが悪いのといっていますが、そんなのは誰でも簡単にわかることであり、英語で契約書も書けず、キャッシュフローを基にIRRの計算もできず、RC造とS造のメリットデメリットさえもいえない自称プロの話はあまり役に立たないと思っています。

機関投資家であった私から見れば、著書でも書いたように海外の不動産投資は「入口」と「出口」のタイミングを外したら失敗することになるので、そんなことより市場の流れを読むことの方がよほど重要だと思っています。

だから、私のこのブログでもあまり個別のプロジェクトは取り上げず、むしろマーケットの動きを中心に書いているのですが、そういう観点からこの本を読んでもらえばと思います。

廉価なキンドル版

実際に私が行った物件購入の「入口」と売却の「出口」の方法についても具体的に紹介しているのですが、内容がちょっと実務的過ぎて非常にニッチなマーケットでもあることから、単行本でなくキンドル版にしたものです。

それが、今となってはキンドル版だからこそ手軽に安く読めるというメリットが生きて、これからバンコクでコンドミニアムを買おうとしている人には、気軽に読める参考書になると思うのです。


ミッションは見事にインポッシブルだったコンドミニアム販売会

オリジン1

供給過剰に懲りないデベロッパー達

สำหรับในระยะปานกลาง (ปี 2024-2026) SCB EIC มองว่า หน่วยเหลือขายสะสมยังมีแนวโน้มปรับตัวสูงขึ้น และอาจอยู่ในระดับเป็นที่น่ากังวลมากขึ้น เนื่องจากจะเป็นช่วงที่ถึงกำหนดการโอนกรรมสิทธิ์คอนโดมิเนียมที่มีการซื้อเป็นจำนวนมากเมื่อ 1-2 ปีก่อนหน้า

SCB EICの調査では、2024年から2026年にかけてコンドミニアムの販売在庫が積み上がる傾向にあり、不動産市場の波乱要因になる可能性があると考えている。その原因は、1~2年前に大量に購入された物件の竣工引渡しがくるからである。

プラチャーチャート・トゥーラギット

最近のバンコクコンドミニアム市場はどうかと各ローカル紙を眺めていたのですが、SCB(サイアムコマーシャル銀行)の経済とビジネスのリサーチセンターであるEICの調査結果とコメントが載っていました。

パンデミックが終わり、タイ経済が次第に活気を取り戻し始めている中、コンドミニアムデベロッパーはまたも無計画に新規プロジェクトを売り出し始め、このところ再び販売在庫が増え始めていて、パンデミック前の状態に戻ってきたということです。

一方で、過去数年に販売された物件がこれから竣工引渡しを迎えるが、これらの多くは中低所得層によって購入予約された300万バーツ以下の廉価な物件が多く、最近はNPLの発生を恐れた銀行が与信基準を厳しくしていることから、住宅ローンを借りられなかった購入者から大量のキャンセルが出てくる可能性があるということです。

日本イベントに観客が溢れる中、閑古鳥が鳴く不動産イベント

ちなみに、これは昨日、サイアムパラゴンで行われていた日本イベントの相撲を見に行った知人が写真を送ってくれたのですが、会場には観客が溢れて盛況だったのがわかります。

ところが、同じサイアムパラゴンでオリジンプロパティの在庫物件の販売イベントが行われており、その写真も送ってくれたのですが、日曜日というのにここでは見事なぐらいに閑古鳥が鳴いているのがわかります。

こういうのを見ると、まだまだ市場回復の兆しは見えてきてないような気がするし、特に300万バーツ(1,200万円)程度の廉価物件を探している人は、来年あたりにデベロッパーがキャンセルされた物件を値引きして売り出してくるのを待つ方がいいかもしれません。

もっとも、私は300万バーツ以下の廉価物件は投資としては向かないので、この価格帯の物件にはあまり興味がないですが…。

続く世界のインフレ懸念、今年は株と不動産が上がる?

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世界を震撼させたコロナの恐怖が噓のように消滅

2020年に始まったバンコクのロックダウンをまだはっきり覚えていますが、スクムビット通りは閑散として、近くのスーパーに行っても食品売り場しか空いておらず、巨大ショッピングモールのメガバンナーでさえスーパーと薬局以外の電気が消えてゴーストタウンのようになっていました。

また、ゴルフ場や映画館も閉鎖され、お酒までも販売禁止となったので、毎日家にこもっているだけですることがなく、時間を持て余していました。

そこで、道路が空いているこの機会にタイをドライブして回ってみようと思い立ち、この年の10月に車を買ったのですが、それでチャチュンサオやサムットプラガーン、サムットサーコーンなどの郊外をドライブして回り、プーケットやイサーンにも行きました。

しかし、あれだけ話題になっていたパンデミックですが、今は世界でほとんどの人が警戒しておらず、やっとコロナ禍が終わったのがわかります。

インフレが世界の最大懸念事項

さて、上のグラフはリサーチセンターのIpsosというところが「今、最も懸念していること」について、世界29か国、25,000人にアンケート調査した結果ですが、コロナ(赤い線)はもう忘れ去られ、代わりにそれまで各国が続けてきた金融緩和により引き起こされたインフレ(紫の線)が最大の懸念事項になっているというものです。

さらに、IpsosがWorld Economic Forumという団体と共同で調査した結果では、69%の人が2023年はインフレ率が上昇し続けると考えているそうです。

インフレに現金はとにかく不利

昨年からのFRBの利上げをきっかけに世界の物価が上がり始め、とうとう日本でもインフレが始まったことから、これからは現金を持っているのが一番不利になります。

私もデフレの間は日本にあるほとんどの資金を個人向け国債にしていたのですが、これではまずいと昨年からせっせと株にシフトしているところです。

とはいえ、一度にドカンと買うのはさすがにリスクがあるので、ちびちびと数百万円ずつ株に投資してきたのですが、まだ全体の3分の1もシフトできてないのに、最近の爆発的な値上りにもっと早くやっておけばよかったと悔しい思いをしているところです。

一方、日本のマンションなどはもう天井圏ですが、タイの不動産はそろそろ買い時が近いと思っています。そこで、将来のポテンシャルがあり、かつダウンペイメントが2割ぐらいですむプレビルドを探し始めたところです。

ダウンがわずか12%で勝負できる「注目のオンヌット、Aspire On Nut Station」を年末年始の帰省で帰国していたために買えなかったのは、今となってはもったいないことをしたと悔しい思いです。

ボーッと生きてたらチャンスを逃すタイの不動産市場


チコチャン1

不動産市場の転換点を見逃すな

チコちゃんの「ボーッと生きてんじゃねえよ」は流行語にもなった誰でも知っているフレーズですが、これを英語にすると「Don’t sleep through life!」ということみたいで、なるほどと頷いてしまいます。

ところで、この番組は私も好きでよく見ているのですが、ある時思ったのは、タイの不動産投資も同じで、マーケットの動きを俯瞰的に見てないと、アッと気が付いた時には既に遅しということになります。

土地神話が生きていたころの日本では、ボーッと生きていてもどんどん地価が上がって、いわゆるほったらかし投資でもよかったのですが、バブル崩壊でそれが崩れた今は、そういうわけにはいかなくなっています。

特にタイの不動産市場は変動が大きく、1996年のバンコク不動産市場の暴落がアジア通貨危機の発端となったといわれているし、この10年間だけでも天国と地獄を経験してきたのですが、変化の激しい新興国不動産マーケットでは、ただボーッと見ていたのではとんでもない損を被ったり、儲けのチャンスを逃したりすることになります。

転換点だった2018年

確か2016年からだったと思うのですが、私は現地のビジネス誌、アレイズにバンコクの不動産事情について毎月連載をしていました。

当時は2016年から2017年の中国人のコンドミニアム爆買いやタイ人投資家の投機買いもあって、このグラフのように都心部のラグジュアリープロジェクトが激しく値上りするようになり、顧客不在の値上りに市場が危険水域に入っていると感じていた私は、2018年の1月号で「2018年の市場予測」と題して、次のような予測を書いています。

「さて、新年を迎えたところで、今年はどんな年になるのか。筆者はここ数年のデベロッパーの都心部へのシフトでやや過剰感の出てきたラグジュアリーコンド市場は勢いを弱めると思っている。そこにクーデター以降大量に供給された高級プロジェクトが竣工を迎えようとしているわけだから、だぶつき感はさらに大きくなる。実際、今よりかなり地価が安かった2、3年前に売り出された人気プロジェクトが竣工しつつあるが、ゲンガムライ(竣工引き渡し前の転売)に失敗した連中の投げ売りが続いた。その典型例が、先のアシュトンやスクムビット24のパーク24だ。

中略

以前、筆者は外資系投資銀行の不動産オポチュニスティックファンドのアセットマネジャーであった。日本ではむしろ“ハゲタカファンド”としてよく知られている。NPL(不良債権)が山積みとなり、日本経済が失速しかけた頃、せっせとそれを格安で買い取り、債権回収して大儲けしたのがハゲタカファンドである。そういう経験からか、最近のラグジュアリーコンド市場を見ていると、絶好の買い場がやってきつつあるような気がするのだが…」

そして、当時は市場が分かれ道に来ているという時期だったので、翌月の2月号では「楽観と悲観、2つに割れた2018年市場予測」と題して、主だったリサーチ会社の市場予測も紹介したのです。

年初に2018年の異変を予言していたAREA

結果はどうであったか。在庫のだぶつきで価格が下がるという私の予測はあたっていたものの、絶好の買い場が来るというのは外れていて、それからも価格の下落が続いたわけです。

そして、誰が一番正しい予測をしていたのかというと、以下の文の通り、このバブルはもうすぐ崩壊すると見ていたAREAの予想が正しかったことになると思うのです。

「このような住宅市場の拡大現象は根拠のない不動産ブームであり、やがてはバブルを引き起こす。従って、もしこの不動産ブームが2018年以降も続けば、2019年か20年には不動産バブル崩壊が起こる可能性がある。つまり、今の不動産ブームは継続的成長を最優先する大手デベロッパーが、社債発行や借入で調達した低コスト開発資金を使った一方的な新規供給で作り出したものであり、ある日、この不動産投機はもう儲からないと市場が気づいた時こそ、不動産バブルが崩壊する」

「入口」のチャンスを逃すな

実際、2018年の終わりごろになると明らかに市場が変調をきたしているのがわかるようになり、2019年に入るとどんどん悪化していきました。

そこで私は、2018年10月に当時保有していた3つの投資物件を急いで売りに出したのですが、運よく2019年末までに売却でき、大損を回避できました。というより、結構な利益を確保できました。

ちなみに、私はどの企業にも属していないので、主にこういうネット情報から市場動向を判断しているのですが、もしすぐに「出口」に向かわずあのままボーッと投資物件を保有し続けていたら、今回の不動産危機をうまく回避できなかっただろうと思っています。

そういう意味では、昨年やっとコンドミニアム市場が底を打ち、これから中国人投資家の買いで再び値上がりが始まるという市場の期待はあるものの、それではいつ投資を始めたらいいのかという「入口」のタイミングについても、継続的に情報を集めていればおのずと見えてくると思うのです。

今はコンドミニアムより不動産株が買い!

2023年住宅株1

2023年も人気のネーウラープ市場

今年は外国人観光客、特に中国人観光客が戻ってくるので外国人のコンドミニアム需要が急増すると不動産業界は期待しているし、私も昨年底打ちしたコンド市場がやっと上昇局面に入るのではないかと期待しています。

しかし、これまでのブログでも書いてきましたが、昨年はコンドミニアムだけでなくネーウラープと呼ばれる平面開発、つまり、戸建てやセミデタッチなどの平面住宅にも人気が集まり、その結果、オールインスパイアーのような中堅のマンデベは大変でしたが、この表にもある通り大手7社の2022年の経常利益は13%増に、そして2023年も9%増となる予想です。

ただ、コンドミニアム市場についてはユニット数においては大きく増加したものの、外国人需要が低迷したため、200万バーツ以下のタイ人向けアフォーダブル物件が中心となって売り出されたわけです。

コンドミニアム市場の回復には時間がかかるかも

この戸建て住宅市場成長の流れは今年に入っていても続いていて、その上に今後外国人投資家がコンドミニアムを購入するようになれば、300万バーツ以上のコンド市場も動き出すことからさらに住宅市場は成長すると見込めるわけですが、実際に目に見えてコンドミアム市場が変化するにはまだ時間がかかるかもしれません。

一方で、タイ中央銀行はLTVのローン規制を再び復活し、インフレで今後住宅ローン金利も上がっていくというマイナスのリスクもあります。

ただし、タイ人の住宅需要は今も大きいので、これで腰折れすることはなく、金利が上がった場合、買える住宅が狭くなるとしても、全体の住宅需要自体は維持できるというのが現地のアナリストの意見です。

2023年は現物資産より不動産株を買え

さて、これは昨日のビジネス紙、プラチャーチャート・トゥーラギットに載った記事ですが、バンコクの証券会社KGIセキュリティーズによれば、ネーウラープ市場は今年も5~10%の成長を果たし、さらに中国人観光客の増加によりコンドミニアム市場も上向くとの予測です。

また、最近タイ政府は2023年の外国人観光客2,500万人を目標としていたのを、ここにきてさらに2,800万人に上方修正したこともあり、以前は外国人はコンドミニアム市場の15%を購入していたので、コンド市場もさらに大きく上昇する可能性があると考えているとのことです。

結論として、KGIセキュリティーズによればネーウラープとコンドミニアムの両方の住宅開発に実績がある総資産の大きな総合デベロッパーであり、配当利回りも6~7%を期待できる銘柄として、APとLHを推奨しています。

私の印象も、昨年のAPは積極展開をしており、随分注目されていました。また、LHは日本でいう三菱地所のような、タイでは名実ともに最大手の総合デベロッパーです。

一方、コンドミニアム市場が反転し値上りを始めるのには時間がかかり、もしかすると来年以降になるかもしれないことを考えれば、これはという有望な投資物件を見つけたのでなければ、今の段階でありきたりの物件に焦って投資するよりも、オールマイティな総合デベロッパーの株を買ってみる方が、投資戦略としては正解であるような気もします。

ところで、不動産ブログなのに株の話が出てくると場違いに見えるかもしれませんが、もともと私は投資銀行で働いていたので、現物不動産への投資だけでなく、不動産証券化とかREIT、NPL、そして個別不動産会社株への投資にも関係があったことから、できるだけ複眼的に市場を見ているつもりです。

そして、現在大きな現金ポジションを持っている人の場合、インフレヘッジという意味でも当面は現物資産よりもこの2社の株への投資に私は賛成です。

アジア通貨危機の再来か、次々と不動産デベを襲うデフォルト危機

オールインスパイアー2

デフォルトしたオールインスパイアー

昨年の8月に「オールインスパイアーのプロジェクト再開は望み薄?」と題して、日本のフージャースとJR九州が鳴り物入りで現地中堅デベのオールインスパイアーとJVを組んで開発を始めた超高層コンドプロジェクトが、どうも工事再開できそうもなさそうだと書いたのですが、結局、1月3日の社債の利払いができず、同社は事実上の倒産となりました。

ところで、このブログで「バンコクでも日系の大型プロジェクトが工事ストップ」と題して、オールインスパイアーの開発プロジェクトがすべてストップしたが、同社は資金繰りが相当苦しいようだと最初に書いたのが昨年の6月です。

上はオールインスパイアーのこれまでの株価推移ですが、もしこれが同社の株に投資していたのであれば、その時にいち早く見切りをつけて株を売却し、投資元本の大半を回収することもできていたわけです。

一方、今まで売らずに持っている株主は、現在の株価がわずか27サタンと2019年のピーク時から10分の1近くになってしまっているので、損失は大きいです。

しかし、もっと悲惨なのが同社のプレビルド物件を購入し、ダウンペイメントを払ってきた投資家たちです。

彼らの場合、残念ながらそのすべてを失い、何も残らないことになりますが、「失敗しないタイ不動産の底値買い」で紹介したようなブランドパワーのあるデベロッパーでなく、中堅デベのプレビルドでは不動産マーケットが低迷した場合、コンプリーションリスクが大きいという例でもあります。

続々と到来するディベンチャーの償還期限

さて、実は資金繰りがきつくなっているのはオールインスパイアーのような中堅デベだけではありません。経済紙のターンセータギットによると、大手を含めてたくさんのデベロッパーがコロナの影響で資金繰りが厳しくなっているところに、社債の償還日が今年の上半期に集中しているというのです。

上の表は2023年のディベンチャーファイナンス償還期日と償還金額を産業別に分類したものですが、不動産業界は2番目に大きく、2023年には1,270億バーツもの社債償還を迎えるだけでなく、それが上半期に集中しているのがわかります。

従って、中には大手であっても今回のオールインスパイアーのようにデフォルトを起こすところが出てくる可能性もありそうです。

なお、これは個人的なガッツフィーリングですが、上のリストを見ると事業規模の割に22億バーツと負債が大きく、しかも高級物件を中心に開発してきたレイモンランドなどは、ここ数年の外国人投資家減少で実態はかなり資金繰りが厳しいのではないかと思います。

「休むも相場なり」はそろそろ終わり

ちなみに、2018年後半に入ると、タイのコンドミニアム市場で多くの外国人、特に中国人投資家から解約が出始め、しかもタイ中央銀行が住宅ローンのLTV規制を始めるということで、タイ人投資家も資金手当てが難しくなると予想されていました。

その結果、マーケットに異変が起こりつつあると思った私は、2019年末までにバンコクの投資物件をすべて売却し手仕舞いしたのですが、おかげでその後のコロナ危機による不動産価格下落の間も精神的に楽なものでした。

同時にブログや雑誌でも、不動産投資は「休むも相場なり」ということで、しばらくは投資からは撤退したほうがいいと書いてきたのですが、あれから3年以上が経ちました。

しかし、今年は中国人投資家が市場に戻ってくると期待できることもあり、底値状態にあるコンドミニアム市場はいよいよ今年後半ぐらいからゆっくりと上昇を始めるのではないかと考えています。

従って、今回の資金繰り危機を乗り切れたデベロッパーは、今回の最悪期を脱することになりそうです。

来年、外国人観光客は減少し、不動産も回復が遅れる?

市場回復3

コロナ規制解除の特需は来年3月で終わる

The TAT governor fears that all those people will finish their travel by March and tourism in Thailand will see a big dip as factors level out. The reality of global recession, extreme inflation, and the high prices of plane tickets and travel costs will set in and cause potential travellers to delay or cancel their holidays.

TATは、タイへ来る外国人観光客は来年3月までには旅行を終了し、それ以降は数が急減することを恐れている。世界的景気後退、高いインフレ、高い航空券や旅行費用が観光客の足を遠ざけることになる可能性がある。

Bangkok Post

来年の外国人観光客は2,000万人などと鼻息も荒く強気の目標を立ててきたTAT(タイ政府観光局)ですが、ここにきてにわかに外国人観光客の増加は来年3月に息切れする可能性があるといい始めました。

というのも、2年以上にわたり続いてきたコロナによる入国規制が10月からやっと全廃され、それまでに積もり積もっていた観光需要が一気に噴出した結果、今の観光客急増につながっている。しかし、それもこの冬の観光シーズンが終わる来年3月ごろまでではないかというものです。

さらに、2019年には1,000万人もの観光客がタイに来ていた中国ですが、一向にゼロコロナ政策が緩和されそうになく、国内では暴動が起こったりしている中、来年こそは中国人観光客が戻って来てくれると期待していたTATですが、さっぱり予想がつかなくなってきています。

その結果、いつもは強気一辺倒のTATですが、さすがに今回は珍しく弱気なことをいい始めたようです。

不動産業界も相変わらず中国人投資家頼り

一方、先日開かれた不動産フォーラムでも、業界のエクスパート達が来年のタイ経済は観光客の増加等でさらに成長するので、今はホテルやショッピングセンターのREITが買いだとか、来年後半には中国人投資家が不動産を買いに来るのでコンドミニアム市場も回復するとか予想しています。

しかし、これはどうも楽天的すぎるような気がします。もっとも、全員が業界人なので、かなりの部分がポジショントークなのは当然ですが…。

そもそも来年は欧米での景気後退入りが懸念されている中、その欧米からタイへやってくる観光客が増えるとは思えないし、現時点では中国人観光客や投資家の動向など予想もつきません。

一方で今日からタイ銀行が利上げをしましたが、それに伴いタイバーツは1ドル=35バーツへと上昇し、日本円に対しても再び1バーツ=3.9円台と高くなっています。

この利上げに伴い住宅ローン金利に敏感な実需層も住宅購入に慎重になる可能性が高く、2023年の不動産市場はそんなに期待できないような気がします。

やはり、コンド市場リバウンドの鍵は中国人

外国人投資家1

シェアが断トツの中国人

このところ、不動産市況が底打ちしつつあり、次第にコンドミニアム市場も回復を始めていますが、これは主に200万バーツもしないようなタイ人の実需物件の売行きが伸びているだけであり、マーケット全体がよくなってきているのかというと、そうではありません。

以前から指摘しているように、バンコクのコンドミニアム市場、特にダウンタウンやミッドタウンは外国人需要が増えなければ回復は望めないのですが、そんな中、REIC(不動産インフォメーションセンター)が土地局(日本の法務局に相当)で登記された名義変更実績を基に作成した外国人の購入実績が上の表です。

これを見ると、2位以下の国々のほとんどが前年同期比で大幅なプラスに転じてきているの対し、中国だけが38%も落ちこんだわけですが、それにもかかわらず今年第一四半期の中国人シェアは45%と2位のロシア、3位のアメリカに大差をつけているのがわかります。

膨らむ中国人の購買需要

2019年には4,000万人の外国人観光客全体の25%を中国人観光客が占めていたのが、今はビジネス客を合わせてもロシア人以下で、最近は著しくシェアを落としているのがわかります。

しかしそれでも不動産登記で45%のシェアを維持しているということは、タイのコンドミニアム市場の今後を見るうえで中国人投資家は無視できないということでもあります。

“The decrease (of market share) was caused by a difficulty to travel to Thailand”
“As soon as China eases travel restrictions, Chinese buyers will definitely come back”
The top five provinces for Chinese buyers were Bangkok (51%), Chon Buri (22%), Samut Prakan (19%), Chiang Mai (4.8%), and Phuket (1.5%).

REIC

実際、REICや他の調査機関も口をそろえて、コンドミニアム市場の回復は中国人投資家の動向次第と結論付けており、また、バンコクと郊外のサムットプラガン県、そしてチョンブリに中国人の投資実績が92%も集中していることから、特にバンコクとパタヤの市場回復は中国人投資家の動向次第ともいえます。

一気にリバウンドが始まるのは1、2年後か

” คาดว่าประมาณ 1 – 2 ปี หลังจากจีนเปิดประเทศเต็มรูปแบบ จึงจะหวังพึ่งกำลังซื้อคนจีนได้ ซึ่งบ้านในประเทศไทยจะกลายเป็นที่ต้องการทันที ” 

1年か2年後に中国政府が海外旅行規制を完全に撤廃した後、中国人の購買需要は直ちにタイの住宅に向かうことになる

Property DNA

今は中国国内の不動産価格が暴落中であり、しかも政府のゼロコロナ政策がいつ終わるのかというのも予想がつかず、本当に1、2年後に中国人投資家が戻ってくるのかはわかりません。

しかし、もともとタイの不動産を買うのは北京や上海で不動産価格が高騰したために住宅購入を諦めた中産階級が多かったということもあり、今でもバイドゥという不動産検索サイトではタイの不動産に2,000万人もの人がアクセスしているということです。

そんなこともあり、一旦中国政府の渡航規制が撤廃されれば、その時はバンコクとパタヤのコンドミニアム市場はリバウンドが始まる可能性が高く、買い急ぐ必要はありませんが今年と来年ぐらいが底値買いのチャンスかもしれません。

タイ不動産投資、敗者復活のチャンス!

旅行1
タイ不動産市場もやっと底打ちか?

5月下旬に一時帰国して以来、まだ日本にいるので今日は久しぶりのアップになります。この間、外国人観光客に不評だったタイランドパスもいよいよ廃止と決まり、これから次第にタイにも観光客が戻ってきます。

一方で、急激なインフレによるコスト増もあって、タイでは数年前のような予算ではもうコンドミニアムが建てられなくなっていることから、中古コンドミニアム市場の年内底打ちもまず確実だろうと思っています。

とはいえ、共産党政府の海外旅行禁止令、そして国内の不動産バブル崩壊により個人資産の大半を占めていた不動産価格が暴落したことで、中国人投資家がタイでの不動産投資を再開することは、当面はまず期待できないと思いますが…。

円安でタイ不動産の価値が6割アップ

さて、日銀の黒田総裁は円安は国益に適っているということで、来年4月までの任期中は利上げをするつもりはないようですが、これにも一理あります。たしかに、海外で事業展開をする日本企業にとって、外貨による売上や利益は円ベースでは大きく膨らむからです。

そして、同じことがタイの不動産投資でもいえます。上のグラフを見ればわかりますが、タイの物価は日本の3分の1といわれていた2012年の頃に比べて、今のタイバーツの価値は6割も上昇しているのです。

また、これからもしばらくは日米金利差が拡大することから円安はさらに進み、やがて140円を超えてくると考えられますが、同様にタイバーツに対しても円安が続き、1バーツが4円を超えてくるのも時間の問題のような気がしています。

すなわち、タイで生活する日本人にっては生活が厳しくなるばかりで、タイはもうセカンドライフを送る理想郷ではなくなっているかもしれませんが、当時タイで不動産投資をした人にとっては「出口」を迎えるチャンスが近づいていることになります。

購入価格全額を日本から外貨送金するルールが奏功

ところで、外国人がタイで不動産を購入をする場合、タイ国内の金融機関から借入をすることはできず、100%外貨による海外からの送金で買わなければならないというルールがあります。

実際、私が初めてアソークにあるグランドパークビューという物件を購入したのが2009年の5月だったのですが、その時のレートは1バーツが2.8円で全額現金で購入しました。

そして、2014年に売却した後もその売却代金はタイで保有したままなのですが、もしこれを今の為替レートで日本円に換えた場合、売却益を除いても投資元本自体が35%も上昇していることになります。

例えば、500万バーツの物件を当時1,400万円で買い、今も保有している場合、コロナによる不動産不況で3割ダウンし350万バーツでしか売れなかったとしても、円ベースではほぼ購入価格で売れるということになります。

もちろん、自分がどの為替レートで物件を購入したかによりますが、今後さらに円安バーツ高が進行すれば損益分岐点もさらに下がることになるので、不動産市場がやっと底打ちしつつある今、たとえタイバーツベースでは損切りであっても早めに売却し、あとはその売却代金をタイバーツで保有したまま、日本へ送金するベストタイミングを待つというのがいいと思うのです。

アゴラ掲載:底値圏に入ったバンコクコンドミニアム市場

底値7

これまで何回かにわたって、最近のタイコンドミニアム市場の変化についてこのブログで書いてきたものをまとめて、2日前に日本の言論サイト「アゴラ」に投稿したのですが、早速今朝、掲載していただけたので、タイの不動産投資に興味のある人は是非読んでみてください。

https://agora-web.jp/archives/2055737.html#googtrans(ja|ja)

ここに書いたように、2018年後半から失速し始めたタイの不動産市場は、それから4年が経った今、とうとう底値圏に届いたと考えています。


いよいよタイ不動産市場が底打ちか?

コロナ1

コロナは4か月以内にエンデミックに引下げ

The Public Health Ministry is setting its sights on declaring the spread of the coronavirus disease as endemic within the next four months, said its top official.

タイの保健省のトップによれば、4か月以内にコロナウイルス感染の取り扱いをエンデミック扱いとするというサイトを作成中とのこと。

バンコクポスト

日本でもコロナウイルスを2類からインフルエンザ並みの5類の伝染病に引下げるべきという声が高まっていますが、タイ政府は日本に先行して、向こう4か月以内にエンデミック扱いに引下げるという方針です。

エンデミックへの変更については「底値買いが始まった商業不動産、エンデミックで住宅不動産にも」でも書きましたが、以前は年内にはといっていたのが、今回は具体的に4ヵ月以内にということで期日のターゲットも示されたことから、いよいよ本格的な開国が目前に迫ってきたということでもあります。

この結果、タイへの観光客はPCRテストやSHA+ホテルでの宿泊義務がなくなり、コロナ以前のように自由にタイを訪れることができるようになると思われますが、これで低迷するタイの観光産業にやっと復活の兆しが出てくることになります。

不動産市場も底打ちか?

同時に、ここ数年の下落でボロボロになっていたタイのコンドミニアム市場ですが、これについても少なくともここらで底打ちするのではないかと思っています。

もっとも、「タイに興味がなくなった中国人投資家、次は日本だ!」で書いたように、中国人投資家やウクライナ侵攻でこれから経済制裁を受けることになるロシアの投資家の復活はちょっと考えられないので、外国人による買いでタイの不動産が力強いリバウンドを始めるというのも多分ないと思いますが…。

一方、中国や韓国のコンドミニアム市場が崩壊を始めたこともあり、東京もそろそろそれに続くと私は思っているのですが、これは日本の外からアジアの不動産市場を眺めているからかもしれません。

国内では日本の不動産はまだまだ上がると思っている人が多いのかもしれませんが、これから金利も上昇するし、先日のニュースでは株式市場がまだ3万円の回復もできてない中で、東京の新築マンション価格がとうとうバブル時の水準を超えてきたということであり、私なんかはむしろ天井感を感じるのですが。

それに対し、タイのコンド市場はこれら市場よりも数年早く崩壊を始めたので、これから投資資金をシフトすることを考えた場合、タイの不動産は投資対象として決して悪くないと思います。

といって、バンコク郊外の300万バーツ(約1,000万円)もしないような物件は実需がメインなので、まだまだ購買力が弱く投資対象としてみた場合はあまり妙味がありませんが、ダウンタウンやミッドタウン、特にグリーンライン沿線が底値買いのチャンスになってくると思います。

為替リスクが問題

ただし、前回にも指摘したように、残念ながら日本人投資家にとっては最近のタイ経済復興を見越したタイバーツ高により、為替面でのリスクが付きまとうのですが、この辺は不動産市場と為替とのリスクバランスが必要になります。

焦る必要はないと思うので、これからじっくりと底値物件を探していけば、年内にはこれはというお宝不動産を見つけることができるような気がします。

底値買いが始まった商業不動産、やがて住宅不動産にも波及か

不動産5

粛々とホテル買収を続ける外国人投資家

さすがホテルビジネスのプロたちです。昨年はたったの20万人しか外国人観光客が来ておらず、まさにホテル市場はどん底だったわけですが、そんな中で彼らは粛々とタイのホテルを買収してきたのがわかります。

しかし、よく考えてみれば、タイは2019年には4,000万人近い外国人観光客が来ていて、世界4位の観光収入を稼ぎ出していた観光大国であり、ビジネス的にこんなおいしいポテンシャルを持つ市場は東南アジアには他にありません。

そして、コロナが終わればやがてまた観光客が戻ってくることはほぼ間違いなく、資金力のあるホテルなら、今がチャンスとタイの観光地に目をつけるのは当然のことでもあります。

リバウンド狙いならバンコク、パタヤ、プーケット

特にホテルが多いのがバンコクとプーケット、そしてパタヤです。この図で見てもわかるようにチェンマイなどは中国に近いし中国と気候も似ているということで、2017年頃には中国人投資家がコンドミニアムを大量に買っていましたが、実際には有名な観光地の割にはホテル市場が比較的小さいのがわかります。

つまり、思っているほどには観光客は来ていないということであり、不動産投資という観点からは今後もリバウンドはあまり期待できないと私は思います。

3月1日からコロナを緊急治療疾病リストから除外

タイ政府も年内にコロナをインフルエンザと同様に一般的な疾病としてエンデミック扱いに変更すると発表しましたが、その方針に基づきいよいよ3月1日からはコロナ感染者を政府が一切合切面倒を見るのでなく、入院するような重症でない場合は、タイ人であっても自分で医者に行き自費で治療することになるようです。

一方、岸田総理は相変わらずコロナの危険度を2類から5類に引き下げるつもりはないようなので、規制緩和がタイよりも大分遅れそうですが…。

アメリカやイギリスと同様にタイ政府も規制の緩和を進めつつあるわけで、それを見越して為替市場でもこのところバーツ高が始まっています。今の為替市場日足チャートを見ても、この規制緩和の流れを受けて俄然タイバーツがリカバリーを始めているのがわかります。

コンドミニアムもそろそろ買い場到来か

Ease of travel restrictions will lead to a brighter tourism market outlook and more participation of foreign investors this year.
“Interest from both local and international investors in Thailand’s hotel market started picking up in the second half of 2021 and has continued to grow. Investors have become more optimistic about the outlook for the country’s tourism market.”

政府による(外国人観光客への)規制緩和は観光産業復活の始まりであり、今年はさらに多くの投資家がホテル市場に戻ってくるであろう。
「国内外の投資家がタイのホテルマーケットに食指を動かし始めたのは昨年後半からであり、この流れは今も続いている。そして、彼らはタイの観光市場の将来を楽観視している」

JLL

タイの場合、これまでの経験から外国人観光客が多く集まり始めると、外国人だけでなくタイ人富裕層の個人投資家も住宅用不動産を買い始めて市場が動意づくことがわかっているので、バンコクやパタヤの、しかもロケーションのいいコンドミニアムがまずリバウンドを始めることになります。

また、ちょうどタイミングよくタイ政府は25万ドル以上の不動産を購入したリタイアリーには、10年のビザを出す方針を打ち出したところです。今後、このビザの詳細がはっきりしてくると思いますが、これも不動産投資市場のリバウンドを牽引する一因になるかもしれません。

何しろ、わずか3,000万円ほどの不動産投資(自宅購入やタイの国債購入でも可)で家族でタイに移住できて、しかも就労もできるという魅力的なビザということであり、タイ政府の思惑通り50代、60代のまだ元気でタイ経済にも大いに貢献してくれるような外国人リタイアリーが興味を示すのではないかと思います。

タイに興味がなくなった中国人投資家、次は日本だ!

開国2

中国人観光客に望みをかけるタイ政府の読み違い

4、5年前から日本の不動産を中国人投資家が買い漁っていましたが、この流れは今も続いていて、実はバンコクに住む私の友人も、最近、横浜の鶴見区に個人で持っていた小さなオフィスビルを中国人投資家に売却して随分儲かったということでした。数億円の売却益が出たようで、今はお金の心配もなくバンコクで悠々自適の生活です。

しかし、最近は知りませんが、鶴見区というと、私がかつて持っていたイメージは工場地帯であり、あまり人気がないというものなのですが、最近はそんなところの小さなビルにも中国人投資家の手が伸びているのかと驚かされます。

また、1億円もするような東京の新築高層マンションも相変わらず中国人投資家によく売れているようで、これからも中国人の日本買いは続きそうです。

Thailand has lost its spot as the most popular cross-border destination for tourists from mainland China, according to a survey by HSBC Holdings Plc, as neighbouring Japan and South Korea moved up the list.
“Barring Hong Kong and Macau, Japan and Korea emerged as the top two preferred cross-border destinations,”

HSBCの調査によれば、中国人観光客の間でタイはもう旅行してみたい国人気ナンバー1ではなくなっていて、香港やマカオへの旅行も禁止された今、日本と韓国が人気の2トップとなっている。

バンコクポスト

一方、この調査結果にあるように、中国人のタイに対する熱はすでに冷めてしまったようで、今後パンデミックが収まっても、2019年以前のようにまた中国人観光客が大挙してやってくることはないだろうという興味深いものです。

中国人投資家に期待していたタイの不動産業界

The Tourism Authority of Thailand (TAT) is pleased to report that Thailand has won a number of awards from both China’s tourism industry sector and leading travel media, including ‘most popular and ‘recommended destination’ accolades.

TAT(タイ政府観光局)は、中国の観光産業団体やトラベルメディアからタイは“もっとも人気があるお勧めの観光地”として多くの賞を受賞したとレポートした。

Pattaya News

TATはいつも大ぶろしきを広げては、結局尻すぼみになるいい加減な予測ばかりするのですが、また今回もこんなことを発表して、自分たちの観光客誘致策を自画自賛しているのですが、実態はどうも違うようです。

また、大手不動産デベロッパーであるアナンダなどは、昨年初めまでコロナさえ終わればまた中国人投資家がタイの不動産を爆買いし始める、という能天気なことをいっていましたが、昨年末の恒大産業の取付騒ぎ以降、中国の不動産バブル崩壊で最近はどこのデベロッパーもトーンダウンしています。

低迷が続くかもしれないタイのコンドミアム市場

また、別の記事では以下のようなことが書いてあり、2017年前後に中国人投資家が買い漁っていたバンコク、パタヤ、チェンマイなどのコンドミニアム市場を再び中国人投資家が席巻することはもうしばらくないかもしれません。

According to a member of the China Outbound Tourism Research Institute, “The market will have changed so the Chinese people travelling in 2022 will be different from the Chinese travelling in 2019. I think the trends will go away from this shopping and rushing around.” 

中国海外旅行研究所によれば、「観光市場ではトレンドが変化するので、2022年の中国人旅行者の興味は2019年の頃とは違ったものになり、かつての買い物やバタバタとせわしなく回る観光旅行は終わる」とのこと。

Thaiger

すなわち、パンデミック前には大型バスでの団体旅行を中心に年間1,000万人もの中国人観光客がタイにやってきていたのが、トレンドの変化でそれがもう見込めなくなったということです。

従って、2016年あたりから激増してきた中国人観光客への賃貸を見込んでラチャダーピセークやスクムビットでコンドミニアムを買い漁っていた中国人投資家も、同様にタイの不動産にはあまり興味を示さなくなる可能性が高いのかもしれません。

昨日大洪水に襲われたバンコク、やがて沈没する運命に!

バンコク沈没4

沈みつつあるのはすべてアジアの都市

日本では小栗旬主演のドラマ、「日本沈没」が放映されているところです。私もこの手のSFドラマは好きな方なので、毎週楽しみに見ていますが、バンコクは今、本当に沈没しつつあります。

実は昨日、バンコクでもチャオプラヤー川がオーバーフローし川沿いのエリアや海に近く低地のサムットプラガーン、そして運河があるプラカノーンなどで深刻な洪水が発生しました。そして、これはまだ終わりではなく、満潮の影響で今夜から明日未明にかけても再度洪水になるリスクがあります。

そんな中、今日、Thaigerのニューストークショーが、地球温暖化で次第に海面が上昇しつつある中、一方でバンコクは沈みつつあるという話題を取り上げていました。

それによれば、今後海に消えゆく危険のある世界の都市、ワースト100を挙げると、何とそのすべてがアジアの都市なのだそうです。

その中でもワースト1位がインドネシアのジャカルタであり、過去20年間の大きな地盤沈下により、なんと街の半分を東に1,000キロ離れた他の場所にリロケートするしかなかったそうです。つまり遷都が起こったわけですが、今、同じ危険がバンコクにも迫りつつあるというのです。

バンコクもかつては運河が至る所にあり、水上交通が発達していたことから、東洋のベニスとも呼ばれていたのですが、ベニスと同様、ここも海面下に沈没しつつあるわけです。

もっとも、人口800万人のタイの首都が沈むのと、沈没を売り物にして観光客を吸引するベニスとでは事の重大さが違いますが…。

過去20年間で20センチ沈んだバンコク

バンコク全体ではありませんが、エリアによっては海抜1~1.5メートルしかないところも多くあり、昨日のようにチャオプラヤー川の水位が2メートル以上も上昇してしまうと洪水が起こります。特にサムットプラガーンなどは、海に近く海抜が低いのですぐに洪水にやられてしまいます。

さらに、バンコクは毎年1~2センチずつ地盤沈下していて、過去20年間で20センチ沈んだそうで、その理由は見境のない高層建築物やBTSなどの交通網といった重量のあるインフラストラクチャーの建設により、その重さで地盤沈下が加速しているとのことで、もうこの沈下は止めようがないそうです。

しかも悪いことに、一方では地球温暖化により海面が上昇してくるわけで、あと数十年で海抜ゼロメートルのところも出てくるかもしれません。

そうなると、ジャカルタのようにタイも首都を新しいところに遷都するしかなくなるかもしれません。

沈没するバンコクで不動産投資?

こういうことを考えると、バンコクで不動産投資など怖くてできなくなってしまいますが、少なくともチャオプラヤー川沿いの低地に立つコンドミニアムはやめた方がいいと思います。

実際、私は2011年の大洪水を経験していて、その時にチャオプラヤー川の近くとか、クローン(運河)の近くのコンドミニアムはかなり価格が下落、もしくは新築の場合、さっぱり売れなくなったのを見て、洪水リスクのある物件は絶対買うまいと決めていたのですが、災害は忘れた頃にやってくるという通り、私も忘れかけていたところに今回の洪水騒ぎで、再認識した次第です。

タイ不動産市場にとって恒大集団の影響はない?

エバーグランデ効果1

コンドミニアム業界のトップ連中は影響ないというけれど

กรณีเอเวอร์แกรนด์ไม่น่าจะมีผลกระทบถึงอสังหาฯประเทศไทย ลูกค้าจีนที่จองและวางเงินดาวน์ห้องชุดยังทำธุรกรรมตามปกติ เพราะคนจีนมีถึง 1,200 ล้านคน มีทั้งลูกค้าที่ซื้อเพื่ออยู่อาศัย, ซื้อเก็งกำไร และผู้ที่เดินทางไปต่างประเทศ เคยมาเมืองไทย รู้จักเมืองไทย ก็ซื้ออสังหาฯในเมืองไทย

恒大集団の問題はタイの不動産市場には影響はない。コンドミニアムを購入している中国人客は、今も契約通りダウンペイメントを払ってきているし、それに中国には12億人の人口があり、自己居住需要、投資需要、そして以前旅行できてタイのことをよく知っていてタイの不動産を買うという人が多いからである。

プラチャーチャート・トゥーラギット

どうもよくわからない理由付けですが、これで影響はないというのには納得がいきません。このコラムの表題でプラチャーチャートが「中国で雨が降ると、タイの不動産市場が寒くなる」といっているように、タイの住宅市場も大なり小なり悪影響を受けるはずであり、そんなのは嘘だと思います。

このインタビューでは、スパライの社長いわく、恒大集団の問題で中国人投資家の海外不動産購入に対するセンチメントは弱含むかもしれないが、それは来年になればわかる。また、借金まみれの恒大集団などと違って、タイのデベロッパーは財務体質がしっかりしているので、中国と同じような問題は起こらないということです。

しかし、タイのデベロッパーが倒産するしないという問題より、むしろ、中国人投資家依存度の強いタイのコンドミニアム市場は、いよいよ中国の不動産市場が崩壊した場合にそれなりの影響を受けるのではないかという問題です。

この記事では、デベロッパー達が彼らが開発する新規プロジェクトの話ばかりしていますが、中古市場が中国人投資家の売り圧力でさらに値下りすれば、当然、新築プロジェクトも売れなくなるとは考えてないようにも思えます。

もっとも、デベロッパーにいくらインタビューしても、ポジショントークばかりで悪いことをいうはずがないし、もともとあまり参考にならないと思った方がいいと思いますが…。

タイ中央銀行が2022年末までLTV規制を一時停止

一方、つい2日前、タイ中央銀行は低迷が続く住宅市場の底入れを目的に、暫定的にLTV規制をなくし、物件価値の100%融資を認めると発表しました。

これで、今の販売在庫を大量に抱える市場が底を打つのかというと、あまり期待できません。もともと外国人はローンが借りられないので関係ないし、実需層はコロナ不況で減収になる中、銀行の与信基準が増々厳格になり、今でも4割から5割の人が住宅ローンを却下されています。

従って、いくら中央銀行が100%貸してもいいといっても、結局焦げ付けば自分たちのNPL(不良債権)が増えるだけなので、市中銀行の実需層に対する貸し出しはほとんど伸びないと思います。

唯一、富裕層が投資やセカンドホームとして買う場合のみ、100%ローンは効果がありますが、まだ不動産市場が底を打ったというマーケットのコンセンサスがないので、大半の投資家は様子見を続けるだろうと思います。

中国人たちはまた買いに来る?

โดยมี 3 ปัจจัยดึงดูด “ค่าครองชีพถูก อสังหาฯถูก และค่ารักษาพยาบาลถูก” ซึ่งเป็นจุดขาย และเป็น benefits ของตลาดคอนโดฯเมืองไทย

生活費が安い、不動産が安い、医療費が安いという3つの要因が、タイのコンドミニアム市場が持つセールスポイントでありベネフィットである。(オリジンプロパティ)

プラチャーチャート・トゥーラギット

そして最後でこういう締めくくりをしているのですが、お金持ちの彼らはタイの生活費やコンドミニアム価格、医療費が実はもう大して安くないことを知らないのかもしれません。

ところで、私はちょっと前に、日本の言論サイト(https://agora-web.jp/archives/2053235.html#googtrans(ja|ja))で「タイ不動産投資、風が吹けば桶屋が儲かる?」と題して投稿しましたが、不動産デベロッパーの彼等とは全く違った考えを持っています。

中国政府が乗り出してきてことごとく破綻を抑え込んでしまえば別ですが、これから恒大集団のような大型倒産がいくつも続けば、いよいよ中国の不動産バブルの本格的崩壊です。

そうなれば、2017年、2018年に中国人投資家が大量にタイで購入した築浅中古もかなり投売りされてくるのではないかと考えています。

そして、多分、その時がタイのコンドミニアム市場での買い場の到来だと思っていますが、将来タイの不動産投資で大きく儲けたければ、「待つも相場なり」でもうしばらく待ってみることをお勧めします。

日本の株式市場とタイ不動産市場について思うこと(その2)

外国人買い1

中国とコロナが最大のリスク要因

ところで、これら日本株とタイの不動産にとってこれからの最大の懸念材料は、中国の経済破綻とコロナ変異株ではないかと私は思っています。

まず、コロナの変異株については、最近また新しい感染力の強いミュー株などが見つかっています。まだ詳しいことはわかっていませんが、もしこれらがデルタ株以上に感染力が強く、しかもワクチンも効かないということであれば、世界経済にまた大きな波乱が起こる可能性があります。

さらに、中国経済は今、どんどん悪くなっています。かつて中国では、銀行、不動産、ITがもっとも給料が高く人気のある職業でしたが、不動産バブルがとうとうはじけた結果、不動産業界では今、多くの失業者や転職者が出ていて、もう中国には不動産ブームは2度とやってこないだろうとあるYoutubeの報道でやっていました。また、金融機関でも同じでデフォルトが多発しています。

かつてリーマンショックによる世界の経済不況を救ったのが、当時経済成長著しかった中国でした。しかし、今回は中国が世界経済にとってのリスク要因になっていると思います。

さらに、もし中共の一党独裁政権が崩壊、もしくは民主主義国家と戦争を起こすようなことが起きれば、株式市場にせよタイの不動産市場にせよ、一時的な暴落リスクもあると思うのです。

従って、今はあまり無理な投資などせず、キャッシュポジションを高めておく方がいいと、私は思っています。

資金繰りが逼迫するデベロッパー達

タイの不動産市場については、以前「タイのコンド市場、中国人投資家依存では復活しない」で書いたように、不動産バブルがはじける中にあって、中国人投資家にはもう期待できないと、私は思っています。

サンシリのコンド、中華圏の投資家人気健在

タイの住宅開発大手サンシリは、新型コロナウイルス感染症の流行下でもコンドミニアム(分譲マンション)の外国人向け販売が順調に伸びていると明らかにした。中国、香港、台湾の投資家の購入意欲が旺盛だという。

最も人気の物件は首都バンコクの「ザ・ライン・スクンビット101」で、引き渡し額は16億バーツ(約54億円)。以下、「オカ・ハウス」が12億バーツ、「XTエカマイ」が11億バーツと続く。「XTフアイクワン」は売約済み17億バーツのうち60%の引き渡しが完了した。

また今月4~5日に引き渡しを開始した東部チョンブリ県パタヤのコンドミニアム「エッジ・セントラル・パタヤ」(全603戸、販売総額32億バーツ)は全体の7割が予約販売済みで、外国人顧客が4割を占めている。

外国人顧客を国・地域別に見ると、中国が全体の50%を占め、香港が30%、台湾および欧米が20%を占める。サンシリが7月に発売した低価格コンド「ザ・ムーブ・ラム22」は、香港と台湾で開催したVIP向け予約会が盛況だったことも、早期完売を後押しした。

サンシリは近く発売する「ザ・ムーブ・バンナー」についても中国、香港、台湾で事前予約会を開催し、完売につなげる。

グルンテープトゥーラギット


それにもかかわらず、タイ不動産業界では、最近このようなサンシリ社長のプレス発表などもあり、中国人投資家の買い需要をことさら強調しています。しかし、これらはどれも3年も4年も前に売り出されたプロジェクトであり、知る人が見たら、今ごろ何いってんだこれ、ということになります。

従って、サンシリの株価維持とディベンチャーによる資金調達を成功させたいがためのポジショントークとしか、私には思えません。

実際、AREAの調査によれば、冒頭の表でもわかるように、今年上半期に外国人が買ったコンドミニアムは全部でたったの660ユニット、金額ベースでのシェアは市場全体の6.1%、平均単価は500万バーツとなっていますが、外国人のシェアが2016年前後には20%~25%であったのに比べると、激減しているのがわかります。

従って、サンシリがいうような、中国人投資家は今もタイのコンドミニアムを買い続けていて、これからも期待できるというようなイメージとは全く違います。

同様にアナンダも先月、ディベンチャーで資金調達をやろうとしていましたが、直前に「アナンダ/三井不動産の大失態か、中央裁判所がアシュトン・アソークの建築許可取消し!」で書いたアシュトンアソークの致命的な問題が出て株価が暴落した結果、期待通りにはいかなかったのだろうと思います。もっとも、アナンダにとってこれは自業自得だと思っていますが…。

IMFも指摘するタイの不動産セクター危機

最近のCBREのレポートによると、バンコクのダウンタウンでは、今年上半期に発売された新規プロジェクトは1つもなかったというほど、外国人投資家が対象のマーケットは死んでいます。

また、IMFは今、経済が苦境に陥っているタイ政府に資金供給の準備をしているのですが、彼らはタイでもっともダメージを受けているのは、観光、サービス、そして不動産セクターだと指摘しています。そういうことからも、不動産デベロッパー各社は相当資金繰りに窮しているように、私には思えるのです。

日本の株式市場とタイ不動産市場について思うこと(その1)

株価1

日本株に光が射し始めた?

ジャクソンホール会議を経て当面堅調な世界の金融市場」と題して、とりあえずアメリカFRBのテーパリング(通貨の量的緩和縮小)が先延ばしになったことで、しばらくは米国株も大丈夫だと思うものの、それに比べて日本株はどうも元気がないと書いたのが、8月30日です。

しかし、9月に入った途端、日本株は俄然元気が出てきて、これらのグラフで見てもわかるように米国株と逆の動きを見せています。理由はいろんなことをいう人がいますが、日本株の割安感に目を付けた外国人投資家の買いというのが大体のコンセンサスだろうと思います。

私の場合は、年初以来「やがてタイバーツのスイングバックが始まる?」などで何回かにわたって書いてきたように、タイバーツが強い間にできるだけ外貨資産に換えておいた方がよいという判断から、不動産を売却してきた資金を為替ヘッジのない日本株と米国株のミューチュアルファンドにそれぞれ150万バーツ、約5万ドル相当分ずつ投資していました。

運よく、現時点ではどちらもそれなりの含み益が出ているので、今のところは正解だったわけですが、一方でタイの不動産市場はまだまだ長いトンネルが続くと思っています。

従って、これからのテーパリングによるドル高期待もあり、ここで株を売って利確してもしばらくは米ドルでのキャッシュポジションを維持することになるので、それならともう少し様子を見ることにしました。

株式投資はキャピタルゲイン課税がないタイが有利

ちなみに、これから日本株が上がりそうな気配を見せる中、日本で投資すれば配当収入にせよ売却益にせよ結構な税金を取られるので、タイに住む非居住者はキャピタルゲイン課税のないタイで投資する方が得です。

また、不動産投資の場合、タイでコンドミニアム投資をすると、原則5年以内の売却なら特定ビジネスタックスがかかるし、物件が古くなるにつれてなぜか増加する移転税、別名インカムタックスと呼ばれる税があるので、それなりの税金がかかります。

しかも、タイの税制はまだ洗練されておらず、日本のように減価償却等を差し引いて損益計算をした上で、売却益があった場合にだけ課税されるのと違い、たとえ損切りした場合でもこれらの税金がかかることから、株に比べて税金面でのリスクが大きいのです。

もっとも、それにもかかわらず、つい数年前までタイ人だけでなく外国人の投資家がタイのコンドミニアム投資に群がっていたのは、タイにはゲンガムライという手法で無税で転売利確する方法があったからなのですが…。

実際、私もこれで結構儲けてきましたが、これについて詳しくは著書の「バンコク不動産投資(基礎編)」を読んでもらえばわかります。ただし、今はあまりに不動産市況が悪すぎて、不動産投資には全く人気がなくなってしまっていますが…。

次回に続く

タイの不動産市場は2027年まで回復しない?

市場回復1

このままではタイの不動産市場は絶望的

” ตลาดที่อยู่อาศัยในปี 2564 จะยังคงปรับตัวลดลงอย่างต่อเนื่องเพื่อปรับสู่สภาวะสมดุลทั้งในด้านอุปสงค์และอุปทานมากขึ้น โดยคาดการณ์ว่าตลาดอสังหาริมทรัพย์ด้านที่อยู่อาศัยจะกลับเข้าสู่ภาวะที่ก่อนเกิดโควิดในปี 2568 – 2570 หรือประมาณ 5-6 ปีข้างหน้า หากรัฐช่วยออกมาตรการกระตุ้นกำลังซื้อ ขยายเพดานลดค่าโอน-จำนองครอบคลุมทุกระดับราคารวม-บ้านมือสอง ฟื้นตลาด แบงก์ชาติปลดล็อกมาตรการแอลทีวี จะช่วยให้สถานการณ์อสังหาฯฟื้นตัวได้เร็วขึ้น”

今年の住宅市場は供給過剰による需給不均衡によりさらに下落が続き、不動産市場がコロナ以前の状況に戻るには、2026年から2027年まであと5、6年かかる。ただし、政府が住宅購入刺激策を打ち出して、移転税の減免措置を中古住宅を含む全価格帯の住宅に拡大し、中央銀行がLTV規制を撤廃するというような政策を取れば、回復はいくらか早まる。

グルンテープトゥーラギット

これは政府系住宅銀行の不動産市場調査機関、REIC(Real Estate Information Center)がプレスリリースしたものですが、パンデミックの第3波、第4波、そして長引くロックダウンでタイ経済がますます悪化する中、タイ、特にバンコク都とその周辺首都圏の不動産市場がコロナ前の2019年レベルに戻るには最悪、2027年までかかるというものです。

しかし、バンコクのコンドミニアム市場は2018年後半には既に悪化し始めていたので、2019年レベルに戻ったところで、2016年、2017年の中国人投資家がコンドミニアムを爆買いしていたころの最盛期からはまだほど遠いわけです。

相当な安値で拾えるのであれば、買い出動もありだと思いますが、正直なところ、今は底が読めない状況なので、コンドミニアムは忘れて、しばらくは外貨とか金、株式への投資を増やした方がよさそうです。

またも延長されたロックダウン

8月末までまたロックダウンが延長されましたが、今回のロックダウンは以前のようにレストランやナイトクラブを閉めただけと違い、工場などの輸出産業の閉鎖にも及んでいることから、好調だったタイの輸出産業までが減収になり始めています。

カシコン銀行の予測によれば、この分では政府は少なくとも9月末までロックダウンを延長すると思われ、旅行、物販、建設、商業、運送、娯楽といった業種が最悪の場合、赤字転落するリスクがあるとのことです。

さらに、彼らの計算では1ヵ月のロックダウンがタイ経済に与えるダメージは2,500億バーツ(8,000億円)と巨額で、もし10月末まで延長されたらいよいよGDPは、昨年に続き今年もマイナス成長に転じると予測しています。

わけのわからないことを続けるタイ政府

今回のデルタ株は感染力が非常に強く、ロックダウンでは解決しないことは世界の例を見てもわかることであり、こうなると、ワクチン接種に遅れを取ったことが悔やまれます。

従って、ロックダウンを解除するには一刻も早く国民のワクチン接種率を上げることが急務のはずですが、政府はいまだに民間の病院が海外から直接ワクチンを購入することを認めておらず、これがワクチン接種のスピードを遅らせています。

しかも、バンコクポストの記事によると、中国に偏っているプラユット首相は、中国製の潜水艦の購入をやめたと思ったら、今度はアメリカでは5月に不良品ということで使用禁止となった中国製のコロナ・テストキットを、今回850万セットも購入すると決めました。

しかも、「ありがとう、バイデン大統領! アヌティン、お前じゃねえ!」で書いたアヌティン保健相はその販売代理権をなんと不動産会社のヌサシリに与えるそうで、いくら不動産業界が儲からずに倒産しそうだからといって、コロナのテストキットの販売など畑違いなのに、その理由がまたふざけていて、ヌサシリの社長とアヌティンが大学の同級生だったからということです。

タイバーツとタイ不動産はまだまだ売られる

反政府デモ3

プラユット首相辞任を求める連日のデモ

The group demanded the resignation of PM Prayut Chan-o-cha and the government supporting him, asserting the government has failed to manage or control the spreading Covid-19 pandemic in Thailand. 

デモ隊はプラユット政権がコロナの感染対策に失敗したことに対し、プラユット首相の辞任と議会の解散を要求した

タイガー

このところ、プラユット首相のワクチン政策の失敗に対してプラユット首相の辞任を求めるデモが続き、しかも、デモ隊によっては政府との対立もますます激しくなってきています。

รัฐบาลภายใต้การนำของ พล.อ. ประยุทธ์ จันทร์โอชา ต้องเผชิญกับวิกฤตศรัทธาอย่างรุนแรง หลังบริหารจัดการสถานการณ์โควิด-19 ผิดพลาด ทำให้ยอดผู้ติดเชื้อและผู้เสียชีวิตด้วยไวรัสร้ายทุบสถิติรายวัน สวนทางกับยอดผู้ได้รับการฉีดวัคซีนป้องกันโควิด-19


プラユット政権は今、コロナ感染対策としてのワクチン政策に失敗した結果、ワクチン接種数も伸びず、連日大量の感染者と死者で記録が塗り替えられる中、国民から不信任を突きつけられる危機に直面している

BBCニュース・タイ

しかし、残念ながらBBCニュース・タイの報道によれば、当のプラユット首相はかたくなに辞任を拒否しているだけでなく、以下にあるように連立政権を組む党のどこも現政権から離脱する意思はないと表明しています。

โควิด-19 : ปชป.-ภท. เปิดเงื่อนไขไม่ทิ้งประยุทธ์ ท่ามกลางแรงกดดันให้ยุบสภา-ลาออก-ถอนตัว

議会解散や辞任要求の激しい圧力にもかかわらず、連立政権を組む各党はそれでもプラユット首相についていくことを表明

BBCニュース・タイ

日本の公明党と同じで、一旦政権側についた以上、その立場を放したくないのかもしれませんが、これではいくらデモ隊が頑張っても、政権交代は無理そうです。

従って、少なくともプラユット首相の今の任期が終わる2023年6月まで現体制が続きそうで、今回のパンデミックは現体制で乗り越えていくしかないのかもしれません。

シノバック購入を止めろと要求する医師たち

ところで、先日、あろうことか内閣は、というよりもプラユット首相は61億バーツものお金を使って役に立たないシノバックをさらに1,090万接種も追加購入することを閣議決定しました。

それを見て、政府は一体何を考えているのかと思い、「何が悲しくてシノバックばかり追加発注するの?」と題してコラムを書いたのですが、数日前、某病院のICU責任者である呼吸器疾患専門の医師もこれに対し、政府はシノバックがもっと変異株に効果のある新製品を開発するまで購入を止めべきと反対する声明を出しました。

しかし、これに対し保健省は、シノバックのワクチンはWHOからも認可されているし、Covaxにも入れられている。また、保健省の研究ではシノバックはデルタ株に対しても75%の有効性がある、というおかしな反論をしてきたのです。

すなわち、この約1,100万接種のシノバック購入は予定通り進めるということなのだろうと思うのですが、そうであれば、今後またも大量のシノバックがタイに入ってくることになります。一体誰が接種に応じるのか疑問ですが、こんなことをしているから現政権は国民の信任を失うのだとも思うのですが…。

あと1年は荒れ狂うコロナ禍

Thailand may be facing Covid-19 pandemic situation for up to one more year if things don’t improve, Medical Services Department chief estimates

医療部門のチーフは、もし状況が好転しなければ、タイは最悪もう1年、このパンデミックに直面し続けると予想している

Pattaya News

こんな調子ではタイの医療現場はあともう1年、パンデミックで振り回されるだろうということですが、政府のワクチン政策のミスでコロナ禍があと1年続くとすれば、当然タイ経済もさらにボロボロになります。

日本でも感染が増えていますが、テレビを見ていても、都知事のいうことなど聞かず渋谷や銀座の交差点では多くの人が出歩いていますが、結局、経済もそれほど大きなダメージを受けていないし、株式市場や不動産市場も上昇しています。また、アメリカでも住宅建設が増加しつつあり、これから経済がよくなるということで株式市場も爆上げしています

これに比べて、まずワクチン政策に失敗しただけでなく、プラユット首相は昨年3月に出した非常事態宣言をいまだに解除せず、超法規的に全権を掌握したまま、あれはするな、これは禁止と警察や軍隊の力を使って国民の経済活動をも強制的に押さえつけてきた結果、経済がもうボロボロになってしまっています。

こんな状況下では、コロナ禍拡大と反政府運動でタイに投資する外国人はさらに減る一方であり、今日もまたタイバーツは売られていますが、まだまだ売られると思うし、同時に不動産市場や株式市場も低迷が続くと思います。

土地購入OKなら、タイ不動産投資に大チャンスがくる!

10年ビザ1

疲弊するタイ経済と外国人への期待

昨日のバンコクポストによれば、タイ経済の復興手段としてかねてから議論がされていた、外国人富裕層やプロフェッショナルを国内に呼び込む策である10年ビザの発行と土地購入許可について、いよいよ内閣での審議にかけることが決まったとのことです。

CESA(The Centre for Economic Situation Administration)approved in principle on June 4 a scheme to offer long-stay visas to four groups of foreigners — rich global citizens, wealthy retirees, rich professionals working in Thailand, and highly skilled professionals.
These groups will be entitled to a visa of up to 10 years and have the ability to own land and property.

タイ経済復興のために4つグループの外国人に長期ビザを出すという案について、CESA(経済状況管理センター)が6月4日に基本承認した。その4つのグループとは、裕福な国際市民、裕福なリタイアリー、タイで働く裕福なスペシャリスト、そしてスキルの高いプロフェッショナルである。これら4グループに対しては、最長10年間のビザと土地や不動産の購入が許可される予定。

バンコクポスト

ところで、先日「リタイアメントビザの更新」で書いたように、毎年の更新が面倒くさいものの、50歳以上の人は誰でも簡単にビザが取れるし、私も今までこれでバンコクに住んでいます。

しかし、誰でもといっても、貯金の80万バーツ(約280万円)もないような人はちょっと論外であり、タイ政府にとってはお金を使ってくれない高齢者に来てもらってもうれしくないので、今後は条件がもっと厳しくなってくるかもしれません。

一方、今の流れとしては、富裕層か優秀なプロフェッショナルなどのタイ経済にプラスになる人に来て欲しいということから、今回の案が出てきているわけです。

いずれにせよ、50歳以上の人にとっては、現行のリタイアメントビザがあるので10年ビザにはあまり興味はないと思いますが、土地が買えるというのは不動産投資にとって大きなチャンスです。

下がり続ける不動産市場

一昨日のターンセータギットによると、政府系の不動産情報センター、REICが今年上半期の新築住宅市場の動向をまとめたところ、年初から一貫して値下りが続いているそうです。

これは当然のことであり、コロナの第2波と第3波でこれだけタイ経済がボロボロになった結果、9割のタイ人が収入減となっている今、長期ローンを組んで住宅を買おうなどという勇気ある消費者はそうはいないし、外国人投資家も入ってこられないのでは値上りするはずがありません。

そして、ここで留意すべきは、コンドミニアムだけでなく、本来タイ人しか買えなかった戸建てやタウンホームまでも値下りが始まっているということです。

このブログでも何回か書いてきましたが、今まで外国人はコンドミニアムしか買えなかったことから、バンコクのコンドミニアムだけが高騰してしまいました。最近はコロナ不況でかなり下がったとはいえ、それでもまだ天井圏に近いところに張り付いています。

一方、土地付住宅はローカルマーケットでしかなかったのでもともと割安感があるのですが、それも値下りが始まっているのです。

しかし、これが外国人でも土地への投資がOKということになれば、アパートや一戸建て、タウンホーム、もしくはタムレ・サカヤパープと呼ばれる将来の発展が確実な有望エリアで更地を買って、中長期で保有というのもありだと思います。

これはいわゆるランドバンキングという投資手法に近いのですが、バンコクの場合、あちこちでマストランジットシステムの新線が計画されているし、外国人が集まってくるとか経済的により重要度が増すエリアというのは、土地勘さえあれば簡単にわかります。

つまり、いくら値下りしたとはいえ、まだ割高感のあるコンドミニアム市場でこれから投資するのに比べれば、土地や土地付不動産への投資はリスクがかなり低いのではないかと思うのです。

4つのグループとは?

さて、今回の4つのグループについてですが、そもそもここに入れることが前提条件なので、以下にまとめておきます。

“Rich global citizens” has no age restrictions but this group is required to invest at least US$500,000 (16.35 million baht) in government bonds, property or foreign direct investment. They must also have at least $80,000 in income over the last two years and $1 million in assets.


”裕福な世界市民”には年齢制限はないが、50万ドル以上をタイ国債、不動産、海外からの直接投資に使わなければならない。しかも、過去2年間に8万ドル以上の収入があり、100万ドル以上の資産を持っていること。

Meanwhile, wealthy retirees are required to be 50 or over and have an annual income of $40,000 and invest $250,000 in government bonds or real estate.

”裕福なリタイアリー”は50歳以上で年間収入が4万ドル以上あり、25万ドル以上をタイ国債か不動産に投資すること。

For professionals interested in working from Thailand, which includes individuals who work remotely or employees of large companies that are close to retirement, they must have $40,000 per year in income with an educational background of a master’s degree or higher or rights in intellectual property and have five years experience in research.

”タイで働くプロフェッショナル”はデジタルノマドとしてリモートワークで働く個人や大企業で働く定年が近い人が対象で、年間収入が4万ドル以上あること、そして、修士課程以上の学歴がある、もしくは特許権等の知的財産を持っていたり、5年以上の研究開発の経験がある人。

Experts in digital services are required to work for SET-listed companies or work for at least three years in private companies which have an income of more than $50 million a year. High-skilled professionals with no age limits are required to work in target industries or academic experts in universities or state agencies.

ITのスペシャリストで、上場企業もしくは5,000万ドル以上の売上がある民間企業で3年以上働いている人。また、タイの大学や政府で一定の専門分野のエキスパートとして働く場合は、スキルさえ高ければ年齢制限はない。

バンコクポスト

こんなところですが、我々にとって一番門が広いのは2番の”裕福なリタイアリー”のグループです。50歳以上で400万円程の年間収入があり、2,500万円強の投資をすれば、10年のビザがもらえるわけです。

まず最初に、25万ドルでタイの国債に投資して最初にこのビザを取り、じっくりと現地でこれはと思う不動産を物色するという計画であれば、多分、今年と来年の不動産市場はベストタイミングです。

10年ビザ3

それに、これまでブログで書いてきたように、ちょうど今はタイバーツが叩き売られつつあります。今年に入って全アセアン通貨で一番売られているバーツですが、今日もまたドル高バーツ安が進んでいて、この流れはまだ続くと思います。その点でも、タイバーツ資産への投資は為替リスクもあまりなくなってきています。

ちなみに、不動産投資が怖いのであれば、10年間ずっとタイの国債に投資しておいてもいいので、その場合は利息ももらえるしリスクは極めて低くなります。


もっとも、閣議でこの案が通ればの話であり、プラユット首相がまた反対するかもしれませんが…。

不動産、建設、ホテル・レストラン業界はさらに地獄が続く

ビジネス信頼度1

タイ中央銀行の調査結果

昨日のオンラインビジネス紙、プラチャーチャート・トウーラギットに載っていたタイ中央銀行の発表によれば、タイ経済界では5月と6月の2か月連続で経済に対するコンフィデンスが悪化しただけでなく、向こう3か月の経済状況見通しもさらに悪化すると見ているようです。

上のグラフはそのタイ経済界のビジネスコンフィデンス・インデックスの変遷ですが、2019年の7月(仏歴2562年กค.)以降、今年の3月を除き、現状維持を示す50以上になったことがなく、産業界の経済に対する信頼度は悪化する一方であったことがわかります。

実際、不動産業界でも、中国人のキャンセルが目立つようになり、バンコクのコンドミニアム市場がどうもおかしくなり始めたのが2018年の終わりごろからでしたが、2019年4月1日の中央銀行によるLTV規制開始をきっかけに目に見えて不動産市場全体が低迷し始めました。

ちなみに、不動産と建設業界はタイのGDPで1割を占めるといわれていて、それが低迷し始めたこともあって、2019年4月あたりから全体のコンフィデンスも下がり続けています。そして、2020年3月のロックダウン以降、インデックスはさらにどん底に落ちてしまったのですが、その後はずっと長い低迷が続いているわけです。

最悪の状態が続く不動産、建設、ホテル・レストラン産業

แบงก์ชาติชี้ แนวโน้ม 3 เดือนข้างหน้า ผู้ประกอบการมอง 3 ธุรกิจแย่ลง
ขณะที่ในอีก 3 เดือนข้างหน้า ดัชนีฯ อยู่ที่ 49.6 ทรงตัวต่ำกว่าระดับ 50 ต่อเนื่องเป็นเดือนที่ 2 จากกลุ่มอสังหาริมทรัพย์ ก่อสร้าง รวมถึงกลุ่มโรงแรมและร้านอาหาร ที่ดัชนีฯ ยังอยู่ต่ำกว่าระดับ 50 อย่างต่อเนื่องตั้งแต่ต้นปีสะท้อนว่าผู้ประกอบการกลุ่มนี้คาดว่าธุรกิจจะยังคงแย่ลงเมื่อเทียบกับปัจจุบัน

タイ中央銀行の指摘によれば、タイ産業界は向こう3か月間、3つのビジネスがさらに悪化すると見ているとのこと
向こう3か月の経済全体に対する(50を現状維持とした場合の)経済インデックスは49.6と、5月と6月の2カ月連続で悪化した。これは年初からずっと悪化の一途をたどっている不動産、建設、ホテル・レストラン業がその原因であり、この3つのセクターは今後もさらなる低迷が続くと見られている。

プラチャーチャート・トウーラギット

すなわち、2019年に始まった不動産や建設業界の不振に加えて、2020年からはコロナの影響でホテルや飲食業界も大きなダメージを受けてしまった結果、これらがタイ経済全体の足を引っ張っているわけです。ところで、よくタイの観光産業はGDPの2割といいますが、このグラフとは違った分類方法なのだろうと思います。

これはちょっと古い統計ですが、ざっくりベースで見ても、タイは不動産業界のGDPに占める比率が7%程度といわれていて、これに建設業の3%とホテル・レストラン業の5%を合わせると15%にもなることがわかります。

この3つの業界がこれから3か月先まで見通しはもっとも暗いということである以上、いくら製造業や農産物の輸出が頑張っているといっても、経済回復はなかなか厳しいように思います。

ましてや、昨日から始まったばかりのプーケットのサンドボックス計画も、わずか数百人の観光客がきただけではまだまだ先が読めないし、観光客が数千万人単位で増えないことにはホテル・レストランだけでなくコンドミニアムを買う投資家も増えないので、なかなか難しいと考えています。

まだまだ続くタイバーツの独歩安?

そこで私が思うのは「これからタイバーツは独歩高から独歩安へ真っ逆さま?」で書いた通り、タイ経済はまだまだ低迷が続くので、タイバーツ安も続くのではないかということです。

そもそも数千万人もの外国人観光客が来なければ外貨をタイバーツに交換するニーズも発生しないし、外国人が不動産を購入するために外貨で送金してくることもないので、タイバーツに対する需要がなかなか増えません。

そしてこれが、今朝、このブログを書いている時点でのドル・バーツレートです。前回からちょうど1週間が経ちましたが、1ドル=32.15バーツとあれからさらにドル高バーツ安が進行しているのがわかります。

結論として、まだまだ悪化すると見られている不動産市場と、さらにバーツ安が進みそうな為替市場の2つの観点から見て、現時点ではタイの不動産を買うという選択はまだ時期尚早だという気がします。

これからタイバーツは独歩高から独歩安へ真っ逆さま?

ドルバーツ週足1

タイと米国、中央銀行金融政策委員会の経済回復に対する温度差

昨日のタイ中央銀行のMPC(金融政策委員会)での協議結果、今後の経済予想にはまだまだ悲観的で、現行の政策金利を0.5%と据え置くことを全会一致で決めました。これに対してタイのグルンシー銀行は、以下のコメントを出しています。

กรุงศรี เผย กนง. มีมติเอกฉันท์คงอัตราดอกเบี้ย 0.50% รอบที่ 9 ส่อไม่ปรับยาวถึงสิ้นปี’65

今回のMPC会議で、タイ中央銀行は政策金利を0.5%で据え置くことを満場一致で決議した。これに対し、グルンシー銀行は、つまりこれは2022年末までもう政策金利の引き上げはないということであるとの見方を示した。

プラチャーチャート・トゥーラギット

一方、先週のアメリカFOMCの会議では政策金利は現状維持とするものの、向こう2年以内に利上げが行われるという見方が過半数となり、これが先週金曜日の大幅な株価の下げの原因にもなりました。

また、これに伴い、これまでじわじわと進んできていたドル高バーツ安に一挙に弾みがついたのが上のドル・バーツ週足でもわかりますが、これがマーケットのコンセンサスなのだろうと思います。

タイバーツは1ドル=34バーツを目指す?

以前、このブログでも「いよいよタイバーツ独歩安が始まった?」や、2回にわたって書いた「やがてタイバーツのスイングバックが始まる?」など、私は現在のタイバーツは強すぎるのでそろそろドルに換えておいた方がいいというコメントをしてきました。

また、私自身も個人的にこれを実行に移して、2019年末までにすべて売却した投資用コンドミニアムの売却代金である約2,100万バーツを、順次米ドルに換えてきました。その結果、既にその6割ほどが金利5.25%のカンボジアでの米ドル定期預金や、為替ヘッジのない米ドルでのSP500への投資信託になっています。

そして、今回のタイ中央銀行の景気に対する見方は彼らのプレスリリース(https://www.bot.or.th/English/PressandSpeeches/Press/2021/Pages/n4264.aspx)を読む限り、結構悲観的であり、今年のGDPの成長率は1.8%、来年が3.9%と、前回の予想値である3.0%、4.7%から大幅に引き下げられました。

従って、今後数年間は、さらにドル高・バーツ安のトレンドは続くと判断して、今後はもう少しスピードを上げてタイバーツ資産から他の通貨資産に移し換えた方がいいと考えています。

コンドミニアム投資はまだ先が読めない

ところで、プーケットでのサンドボックス計画が来月から始まりますが、これまでにも書いてきたように、私はこれには悲観的で、タイ政府が期待するほどには外国人観光客が増えるとは思ってないので、観光産業はなかなか回復せず、バーツの下落はこれからもじわじわと続くと思っています。

これまでタイバーツの独歩高を牽引してきた観光収入が世界4位というタイ経済構造の強みが、コロナで一挙に不振に喘ぐ観光産業ということで、逆にタイ経済の最大の弱点となってしまった結果、最近はASEAN諸国の通貨の中でもバーツが一人負けしています。

それに、欧米やイスラエルの例を見て、ワクチンによる経済回復に期待ができると考えて、「バンコクの不動産投資、年末あたりから物色のチャンスか?」を書いたのですが、最近の中国ワクチンを接種した国では、むしろ感染者が増加していることがわかり、考えを変えました。

この状況はタイも同じで、今日またさらに中国のシノバックワクチンが200万接種分も届くのです。これで合計1,050万接種分の中国ワクチンがプーケットなどで打たれているわけですが、これでは感染者が急増して再びプーケットはロックダウンということにもなりかねません。

いずれにせよ、バンコクの不動産市場はまだまだ「休むも相場なり」で今年いっぱいは様子見としておいた方がいいと思います。

タイのREITが面白い

ただし、タイの不動産で今ボロボロなのは、コンドミニアムやサービスアパートの住宅用不動産、ホテル、オフィスといったコロナで直接的にダメージを受けた業種であり、一方で産業用不動産は大して影響を受けてないにもかかわらず、つれ安になっていることから利回り的に非常に魅力を感じます。

実際、このグラフでもわかるように、日本やアメリカのREITはコロナ前の水準に戻っているのに、タイは以前、3割も下がったままです。

このブログでも「バンコクの不動産投資、年末あたりから物色のチャンスか?」の中で以下のように書きましたが、製造業は今後バーツ安が続くとすれば、さらに輸出が伸びるのでいいと思います。

もともと、輸出産業はコロナの影響が小さいといわれていたので、ロックダウンがなくなり、従業員が工場で働けるようになれば生産が再開されます。実際、私の知人がシーラチャに工場がある日系企業の支社長をしているのですが、昨年末あたりから(人手不足で)
工場労働者を集めるのに苦労しているといっていましたが、今のタイのGDPを牽引しているのは工業製品と農産物の輸出の伸びです。

従って、私自身はこのグラフが表すように工場や倉庫、インフラ関係のREITは今が買い時ではないかと思っていて、最近いろんなタイREITのポートフォリオを調べています。もともと投資銀行でこういう分析も仕事の一部だったのでお手の物です。もっとも、予想はよく外れますが…。(笑)

ただし、先に書いたように今後はタイバーツが弱くなると思っているので、敢えて日本円を使ってタイREITに投資するのはあまり意味がないように思います。従って、現在多額のタイバーツを持っている人であれば、こういう不動産REITは投資のチャンスのような気がします。

プラカノーン~オンヌットの市場予測(その2)

On Nut
さて、プラカノーンはオンヌットに比べると買い物やレストランといった生活利便性ではやや劣るものの、シーロムやワンバンコクにつながるラーマ4の起点なので、オンヌット以上に交通の要所であり、アソークやプルンチットのCBDで仕事をする外国人も多いことから、距離が近い分、オンヌットよりもっと外国人比率が高いと思います。それに、最近は駅前にサマーヒルという商業施設ができたことで、以前に比べれば生活利便性も向上しました。

Phra Khanong

ちなみに、最近はオンヌットの先のバンジャークでも、欧米企業の現地法人や支店が増えてきていることから欧米人をよく見かけるようになってきていますが、今後、ウドムスクのバンナートラッドとの角で建設中の巨大なバンコクモールができると、この流れにはさらに拍車がかかると思います。

bangkok mall

一方、例えばパープルラインはどの駅に行っても、欧米人や日本人をほとんど見かけないことから、明らかに賃貸マーケットが違うことがわかりますが、同様にタイ人の自己居住需要が中心のイエローラインやレッドラインといった新線も、我々のような外国人が行う賃貸目的の投資には向きません。

ただし、バンコクのどのエリアでも今は賃貸市場も売買市場もよくありません。私の知人は先日、プラカノーン駅に近いプロジェクト、スカイウォークの高層階、51㎡をわずか15,000バーツ/月で借りたそうです。内装もきれいなので、ちょっと前までなら500バーツ/㎡は取れていたと思うのですが、今は4割も家賃が下落してしまっています。

従って、プラスプロパティがここでいっているように、あくまでコロナ危機が終わり、タイ経済が回復し始めれば外国人需要がまた回復してくるので、その時にはシティフリンジであるプラカノーンとミッドタウンフリンジであるオンヌットの外国人向け賃貸市場がまず最初に上向くというものなので、物件購入を焦る必要はありません。

一方、「「休むも相場なり」はさらに長期間続くのでは?」で書いたように、当面、中国人投資家は戻ってこないと思うし、売買市場は賃貸市場より回復にもっと時間がかかると思います。そういう意味で、外国人の賃貸需要の方が先に動き出しそうなことから、今年から来年にかけて、賃貸で家賃を稼ぐイールドプレイが目的の投資家にとっては、ちょうどいい仕込み時期がくるように思います。

もっとも、最近、ワクチンのモデルナ社が、「コロナの変異株の進化が非常に速く、近いうちに今のワクチンが効かない変異株が間違いなく出てくるので、コロナ禍はまだ終わってない」という不吉なコメントを出しましたが、不動産市場の回復もコロナの動向次第ということもあり、現時点では未知数が大きいのでリスクも当然あります。

プラカノーン~オンヌットの市場予測(その1)

ナイツブリッジ損切り

พลัสฯ มองตลาดคอนโดปล่อยเช่ายังมีความหวังกลับมาฟื้นตัวเมื่อสถานการณ์เศรษฐกิจและการแพร่ระบาดของโควิด-19 คลี่คลาย เผยยังมีดีมานด์จากผู้เช่าต่างชาติ ชี้โซนพระโขนง-อ่อนนุช น่าจับตามอง อยู่ไม่ไกลจากศูนย์กลางธุรกิจ เป็นทำเลศักยภาพทั้งปัจจัยด้านการเดินทาง ระบบขนส่งมวลชน ศูนย์การค้า คอมมูนิตี้มอล โรงเรียนนานาชาติ ร้านค้าและสิ่งอำนวยความสะดวกครบ เดินทางเชื่อมต่อรถไฟฟ้าไปแหล่งชาวต่างชาติในโซนเอกมัย-ทองหล่อ-พร้อมพงษ์ ได้สะดวก เป็นโซนความเจริญแห่งใหม่ที่เชื่อมต่อเข้าเมืองเพียงไม่กี่สถานี แต่ราคาขายต่อตร.ม.ต่ำกว่าประมาณ 40%-60% และมีผลตอบแทนการปล่อยเช่า (Rental Yield) ประมาณ 5% ต่อปี

プラスプロパティは、現在の経済不況とコロナの感染危機が去った後には、再び外国人の住宅需要が回復すると見ており、コンドミニアムを外国人エクスパットに賃貸したいのであれば、プラカノーンとオンヌットに注目するべきと考えている。
その理由は、CBD(中心部ビジネス街)からそう遠くないこと、便利な交通輸送手段、スーパーマーケット、コミュニティモール、インターナショナルスクール、店舗等あらゆる生活に必要な施設が整備されていて将来性が高いからである。
また、BTSでエッカマイ、トンロー、プロンポンにつながり、都心部もわずか数駅で容易にアクセスできることから、外国人エクスパットにとって魅力があり、今後も発展する新しいゾーンである。しかも、コンドミニアムの平米単価は都心部に比べて40%から60%も割安で、投資利回りも年間5%はある。

Pus Property

また、彼らは前回私が書いたように、観光産業はかなりのダメージを受けているが、製造業等の輸出産業はコロナの影響が小さく、駐在員や現地採用の外国人エクスパットが早晩戻ってくると予測しています。

実際、BOIの統計によると、タイ全体で今年の第1四半期の就労許可を持つ外国人の数が、昨年同期比で35%も減ったということであり、かなりの外国人がタイから離れたわけです。しかし、コロナ危機さえ一段落すれば、タイ経済も回復し始めるので、次第にこの外国人たちが戻ってくると考えるのはおかしいことではありません。

ちなみに、プラカノーンからオンヌットについては、私もこのブログで何度も推薦してきたし、予算が1,500万円から2,000万円の一般的な投資家にとっては、利回りが低く空室リスクが高いトンローやプロンポンの値がさ物件を狙うよりも、こういう賃貸市場の需給が最初に引き締まってくる、しかも価格的に購入希望者も多いゾーンを狙うべきだと思います。

それに、もともとオンヌットはタイ人のアッパーミドルクラスの間で住みたい街ナンバー1であったのが、ここ4、5年の間にその利便性に注目した外国人エクスパット達が移り始めてきたというのが本当のところです。実際、BTSオンヌット駅から500メートル以内であれば、今はかなりの数の欧米人が住んでいます。

ちなみに、以前「ナイツブリッジ・プライム・オンヌットの底値買い」で3回にわたって紹介した上の写真のナイツブリッジなどは、まだ築1年と新しく、外国人とタイ人の両方から賃貸需要が見込めるので、これから来年にかけて投売りの格安物件が出れば、即金買取で底値買いを狙ってもいい物件だと思っています。

もっとも、駅前ではないし、デベロッパーの施工にもやや不安があることから、あまりキャップコンプレッションは見込めないので、長期で持つべき物件ではなく、できれば5年ぐらいで手放す方がいいとは思いますが…。

次回に続く


バンコクの不動産投資、年末あたりから物色のチャンスか?

Plus Property1

家賃の値下りと物件価格の値下りで不動産市場はボロボロ、底なしの様相だったことから、昨年以来、私はこの市場にほとんど興味をなくしてしまい、「休むも相場なり」でしばらくは買うのも売るのも止めて様子見をしているのが得策と書いてきました。

しかし、まだ確信はないのですが、このところの世界の動きを見ていて、これから年末にかけてバンコクの不動産市場もそろそろ底値買いの物色タイミングが近づきつつあるのかもしれないと思うようになりました。

例えば、イギリスは今年1月にはコロナによる1日の死者が1800人以上出ていたのが、ワクチンの普及でとうとう6月1日には死者ゼロになったと発表しており、アメリカでもカリフォルニア州ではマスクなしで普通の生活に戻ってきていて、わずか半年でこれだけ様変わりするとは、やはりワクチンの威力は凄いと印象付けられました。

従って、「いよいよ大規模接種開始なのに、アストラゼネカがない?」で書いたように、タイではいまだにすったもんだやってはいるものの、やっとワクチン接種が始まりつつあることもあり、多分、来年には次第にコロナ禍の鎮静化が始まるのではないかと思うようになりました。

とはいえ、先日「タイ政府予測:2026年までタイの観光産業は回復しそうもない」で書いたように、ここまでダメージを受けた観光産業はあと4、5年ぐらい苦難の時代が続く可能性が高く、リゾート地の景気回復はまだまだ先なのかもしれませんが…。

それに対し、バンコクの不動産市場は、外国人観光客よりも、むしろ外国人の駐在員や現地雇用者、そしてロングステイヤーによる中長期賃貸需要の方が大きく、ワクチン接種さえ進めば、それほど悲観的になる必要はないように思うのです。

USDTHB

しかも、このところのバーツ安で年初には1ドルが30バーツを切っていたのが、今は31バーツ台と大分落ち着いてきたこともあり、タイの輸出産業が順調に回復しています。

もともと、輸出産業はコロナの影響が小さいといわれていたので、ロックダウンがなくなり、従業員が工場で働けるようになれば生産が再開されます。実際、私の知人がシーラチャに工場がある日系企業の支社長をしているのですが、昨年末あたりから工場労働者を集めるのに苦労しているといっていましたが、今のタイのGDPを牽引しているのは工業製品と農産物の輸出の伸びです。

従って、タイは金融が中心のニューヨークやロンドンと違い、外国企業も製造業が多いことから、日本人を含め、今後外国人駐在員や現地雇用者の数は戻ってくるように思います。そうなると、彼らは観光客と違ってホテルには住まないので、サービスアパートやコンドミニアムに住むことになります。

ただし、同じバンコクでも市場全体が回復するというよりも、むしろ、まだら模様になるのではないかと思います。特に中国人が買い漁ったラーマ9以北のラチャダーピセーク通り沿いはしばらく難しいと思いますが、スクンビットライン沿線の方がやはり先に回復すると思います。

また、日本人駐在員については、数年前からのトレンドとして家族同伴が減り単身赴任が増えてきていることから、トンローやプロンポンよりも、どうせ一人で住むのであればと生活に便利で物価も安いという実利を優先する人がシティフリンジやミッドタウンフリンジを選ぶようになってきています。

さらに、家賃が都心に比べて割安であることから、日本人に限らず欧米人の外国人現地雇用者需要も増えつつあるので、このあたりの賃貸マーケットは今後も拡大していきます。

さて、ここに調査会社のプラスプロパティから数日前に出てきた市場予測あるのですが、これからの不動産市場の回復を睨んでコンドミニアムに賃貸目的で投資するのであれば、プカノーンからオンヌットが狙い目ということであり、これは、私がこれまで著書やこのブログで何度も書いてきたように、これからの投資先はシティフリンジからミッドタウン、すなわちプラカノーンからウドムスクという考えと共通するところがあり、今回はこれについて書いてみることにします。

次回に続く

タイ政府: 2026年までタイの観光産業は回復しそうもない

検疫期間2
タイ政府観光庁は是が非でもプーケットでのサンドボックス計画を7月1日から実施し、その後、パタヤやグラビなど5か所でも外国人旅行者を呼び込む足がかりにするつもりということを以前書きました。


また、それに基づき、政府はプーケットの住民に優先的にワクチン接種を行い、6月末までに接種率を70%まで引き上げようとしています。

しかし、これはオンラインニュースのタイガー及びバンコクポストに載っていた記事ですが、別のタイ政府機関が発表したところによれば、タイの観光産業はあと5年は回復しない可能性があるので、観光産業で働く人は早目に見切りをつけて別の仕事についた方がいいという悲観的なものです。

2 years ago, prior to the pandemic, tourism comprised around 21% of Thailand’s GDP, taking in 1.8 trillion baht in revenue. However, the National Economic and Social Development Council predicts Thailand won’t see similar numbers for 5 more years… a jump of 3 years from what experts predicted it would take the tourist sector to recover. In between now and 2026, it is expected that 7 million workers will continue to be affected.

コロナ禍が始まる2年前には、タイの観光収入はGDPの21%、金額にして1兆8千億バーツ(約6兆円)もあった。しかし、国家経済社会開発評議会が発表した予測では、このレベルまでタイの観光産業が回復するにはあと5年間はかかるというもので、これまで他の専門家たちが予測していた2年後の回復より3年も大幅に遅れる予想となった。従って、今から2026年までの間、観光産業で働く7百万人の雇用が影響を受けることになる。

タイガー

私もタイの不動産市場が深刻な低迷期に入ったので、2019年以降、投資スタンスは「休むも相場なり」として様子見を決め込んできました。

しかし、これまでの世界の動きを見ていると、これだけ世界の景気が疲弊して個人の収入も減っている中、ワクチン接種でコロナが収まったからといって、すぐに堰を切ったかのように世界から、特に中国からの観光客や投資家がタイに戻ってくるとは思えなくなりました。

そして、このことは不動産業界だけでなく、観光産業全体も同じなのではないかとも思うのです。実際、これまでの政府の施策である特別観光ビザは観光客などほとんど来なくて失敗したし、韓国大使館の勧めで始めたピント外れのゴルフ場隔離検疫も人気が出なかったしと、結局のところ、タイ政府が何をやったところで、世界中が問題を抱えていることから、今回のコロナの後遺症は長く続くだろうと思います。

それもあって、今回の観光産業が回復するには2026年までかかるかもしれないというこの予想にも頷けます。いずれにせよ、7月に入ってサンドボックス計画でワクチン接種を済ませた外国人観光客がプーケットにどれだけ入ってくるかを見れば、将来隔離検疫さえなくなれば外国人観光客が呼び戻せそうなのかどうかがわかるはずです。

そしてもし、特別観光ビザの時のように期待外れになるとすれば、長い後遺症により、観光産業だけでなく、ゴーゴーやカラオケのような観光客相手の夜のサービス、そして外国人投資家相手のコンドミニアム市場等、多くの外国人に依存する産業で長い低迷期間が続くことになるのだろうと思います。

お知らせ:
タイランド太平記/バンコク コンドミニアム物語は、これまでのライブドアから移動しました。ただし、今までと同じドメインでタイトルも同じ「タイランド太平記/バンコク コンドミニアム物語」で連載を継続しているので、今後はそちらの方で読んで下さい。
なお、昨年以前の旧ブログの内容についてはこちらで読んで下さい。

「休むも相場なり」はさらに長期間続くのでは?

中国総量規制1
このブログでも、そして昨年初めに出した著書でも、コンドミニアム市場の先行きが不透明なのでしばらくは「休むも相場なり」と決め込んで、この先、不動産マーケットがどう動くか見定めたほうがいいと書きました。

もっとも、当時はあと1、2年もすればコンドミニアム市場はまた回復してくると比較的楽観視していたのですが、その後3月に入ってコロナ禍が始まり、予想外の波乱が続いています。

終わらない価格戦争1
2018年まで市場の牽引役となっていた外国人投資家、特に中国人投資家が今度は大量の解約キャンセルする側に回ったことから、デベロッパー各社は昨年と今年にかけて次々と竣工引渡しを迎える完成物件の在庫処分に追われているわけです。

2018年までヨーロッパ、シンガポール、香港、そして中国の投資家と主役は次々と入れ替わってきましたが、現在の価格水準までコンドミニアム市場を牽引してきたのは外国人の購買力によるところが大きく、実需と投資需要を合わせてもタイ国内の需要だけではここまで成長してこなかったと考えています。また、バンコクだけでなくプーケットやパタヤといったリゾート地のコンドミニアム市場も、外国人投資家が不在のままでは、いつまでたっても回復しないとも考えています。

つまり、バンコクのコンドミニアム価格が再び2018年の水準に戻るためには外国人バイヤーが不可欠と、私は考えています。

これについては、デベロッパー各社も私と同様のことを考えているのですが、ちょっと違うのは、彼らは一様にワクチンの普及で隔離検疫なしで外国人がタイに来られるようにさえなれば、すぐに中国人投資家が戻ってきてコンドミニアム市場は回復すると能天気に思い込んでいるように見えます。

しかし、中国では今年からいよいよ不動産融資に対する総量規制が始まりました。中国のGDPには不動産取引も含まれるのでかなり水膨れしているといわれていますが、総量規制で銀行の貸し剥がしが始まるとGDPは一挙に縮小します。

また、中国の大手デベロッパー、恒大集団が販売在庫をすべて3割引きで投売りしたという話は有名ですが、金融機関からの借入金返済に必死になっているといわれています。そして、これは総量規制で日本のバブル崩壊が始まった状況とよく似ています。

多分、あと半年も様子を見ていればわかると思いますが、計画通り10月から外国人の隔離検疫なしの入国が再開された場合、さあ、いよいよタイの不動産に飢えた中国人投資家が戻ってくるぞとデベロッパー達が待ち構えていても、予想に反して誰も買いに来ないという可能性が高くなっているような気がします。

私の記憶では、日本のバブルがどんどん膨らんでいた1980年代の後半に入った頃、お金がジャブジャブで使い道に困った投資家が海外不動産に目を向け始めました。三菱地所がニューヨークでロックフェラービルを買い、興和不動産がパリで、熊谷組がロンドンで巨額の不動産投資を始めた頃です。

同様に、個人投資家もハワイのコンドミニアムを買い漁りったりしていたのですが、ある意味、行き場のなくなった余剰資金が海外不動産へシフトし始めたのが、バブル崩壊が近づいてきたシグナルだったのかもしれません。

もし、それと同じことが中国でも起こっていたとしたら、2016年後半から始まった中国人投資家のタイでの不動産投資は、バブル崩壊の前兆であり、今回の総量規制により今後中国不動産市場の暴落が起こるかもしれません。そうなれば、中国人投資家は当然、タイに戻ってこないし、中国にも失われた5年とか10年がやってくるのかもしれません。

ちなみに、日本のバブル崩壊後、法人、個人を含め、ほとんどの海外不動産は損切りで売却されましたが、中国人投資家も同じことをするかもしれません。そうなると、今後さらに売物件が増えて市場での供給過剰は一向に収まらないことになります。

そういった意味では、不動産市場にある程度見通しがつくまでは「休むも相場なり」でじっとしているべき期間がさらに延びたと、私は思っています。


キャンセル続出で完成在庫は今年も積み上がる

市場回復1
これは昨年10月の記事ですが、当時はコロナの蔓延が終息するまでもう不動産市場の回復は見込めないというものでした。

その後、やっと世界でいくつかワクチンが開発され、タイも今月から接種が開始されます。これらが世界に行きわたれば世界経済も回復し始め、タイにも外国人観光客が戻ってくると予想されるのですが、
最近のニュースでは、タイ観光スポーツ省はワクチンパスポートなるものを作ってもらい、ワクチン接種を受けた外国人は隔離検疫なしで4月以降入国できるようにするということを検討しているそうです。

もっとも、私は個人的にはこれは多分、実現しないだろうと思っていますが...。というのも、これまでタイ観光スポーツ省はいろんな計画を発表してきたのですが、ことごとくCCSA(Covid-19状況管理センター)に却下され、私の知る限りこれまでに承認されたものは、SPV(特別観光ビザ)とゴルフ隔離検疫の2つぐらいしかありません。

同じタイ政府といっても、コロナに関しては内部にヒエラルキーのようなものがあるようで、CCSAのように絶対的に力のあるところと観光スポーツ省のようにあまり発言力のないところがあります。特にSPVは期待も大きかったのですが、「結局、外国人観光客は来なかった (特別観光ビザ)」でも書いたように、残念ながら不発に終わったようです。

2017国別シェア

さて、
2017年から2019年にかけて売り出されたタイのコンドミニアムを、あれだけ多くの中国人バイヤーが爆買いしていたのですが、REIC(Real Estate Information Centre)によると、それらが竣工引渡しを迎え始めた昨年前半には、なんとその半分がダウンペイメント流しの解約に動いたのではないかということです。

The Chinese are reluctant to complete transfers
The virus has continued to affect hospitality operators, including hotels and condominiums that service tourists, nationwide. Since China has suspended tours, put restrictions on movement, and locked down cities, home to over millions of people, it also poses a threat to real estate developers as their clients are unable or unwilling to fly.

購入物件の引渡しに消極的な中国人バイヤー達
タイ国内のホテルやコンドミニアムといった観光客受入施設に対するコロナの影響が今も続いている。そして、中国政府による海外旅行の禁止やロックダウン等で中国人観光客がタイに来なくなってから、中国人投資家もタイに来なくなり、これがコンドミニアムデベロッパーにとっても危機となっている。

“Currently multiple off-plan condominium developments are approaching completion, and Chinese clients are unable or unwilling to transfer. Vichai Viratkapan, acting director-general of the Real Estate Information Centre says that 50% of Chinese condo transfers are expected to disappear.

現在、いくつものコンドプロジェクトが竣工を迎えつつある中、中国人投資家は引渡しを受けられない、もしくは引渡しを受けようとしなくなっている。そして、REICによれば、中国人投資家の内、約5割が契約をキャンセルしたとのではないかと見ている。

実際、私の3人の日本人クライアントもそうなのですが、昨年、コロナがいつ終息するのか不透明な中、これ以上のリスクは取りたくないということで、20%から25%のダウンペイメントを捨てて解約しました。物件によって違いますが、いずれも金額にして500万円から1,000万円の手付流しであり、決して小さい額ではありません。

もともとこれらの物件は私が推薦して買ってもらったわけではないのですが、
購入予約権を売却していくらかでも回収してくれないかという依頼があり、以前、内装工事やコンサルティング等で取引のあったクライアントでもあったことから、一応引き受けたものの、結局、私も力及ばず転売には失敗しました。

当時、いろいろやってみたのですが、買い手不在の中、売り一色でほとんど反響がなく、結局期限切れでデベロッパーにより契約解除されてしまい、3人ともダウンペイメントを全部失ってしまったのですが、今も同じ、いやもっと厳しい状況が続いています。

それに、REICがここでいっている中国人投資家の半分がキャンセルというのは昨年前半の話であり、今はあれからさらに
マーケットが下落していることから、今年竣工する物件のほとんどは、いまさら引渡しを受けても相当な含み損を抱えることになります。

従って、中国人だけでなく外国人購入者の7割から8割が解約すると思っています。また、タイ人購入者でも自己居住でなければ、さっさとダウンを放棄して解約するのだろうと思います。


そうなると、2018年、2019年にプリセールで年間5万~6万ユニットと大量に売り出されたプロジェクトが竣工引渡しを迎える今年も、解約による完成在庫がさらに積み上がることになるはずです。その結果、資金繰りに窮したデベロッパーの投売りや、最悪の場合、破綻するところも出てくる可能性が大いにあると思っています。

このプリセールというのは、株の信用買いに似ているところがあるので、価格が上昇局面ではレバレジが効いていいのですが、一旦下落が始まると価格が下がったから解約して引渡しを受けない、その結果、完成在庫が溢れ、市場価格がさらに下がる、するともっと多くの購入者が解約してくるというまさにVicious Circle(悪循環)が始まるので、長期にわたりなかなか収束しなくなるのですが、それだけタイの不動産は「入口」と「出口」のタイミングが重要だということです。

2021年もコンドミニアム市場は土砂降り状態

2021年1
新年早々、コロナの感染拡大でバンコクもいつロックダウンが始まるかわからない状況になる中、ビジネス紙のプラチャーチャートが3つの業界団体、住宅事業協会、タイコンドミニアム協会、タイ不動産協会に対し、2021年の不動産市場予測についてインタビューした記事が載っています。

3協会ともネガティブなコメントが中心ですが、私の受けた印象は、バンコクのロックダウンがあろうがなかろうが、コロナの感染拡大が今後3、4カ月以上続けば、多分、今年の不動産市場はもう回復の見込みがないだろうというものです。

結論としては、昨年
急ぐな、焦るな、コンドの底値状態は来年も続く!」で2021年の市場もよくないと書きましたが、その後、想定外の感染拡大により市場環境はさらなる悪化が予想されるので、少なくとも向こう半年はもう何もせず投資資金の温存が最善策だと思います。

以下がこのインタビュー記事のキーポイントですが、昨年10月に私が書いたこのブログ記事を先に読んでから、以下のコメントを読んでもらうと、現在の状況悪化が納得できると思います。


ทั้งนี้ มี dead lock คือ สถาบันการเงินเข้มงวดการปล่อยสินเชื่อ 2 ขา ได้แก่ สินเชื่อพรีไฟแนนซ์ หรือสินเชื่อผู้ประกอบการ กับสินเชื่อโพสต์ไฟแนนซ์ ซึ่งปล่อยกู้ให้กับคนซื้อที่อยู่อาศัย
สภาพปัญหาคือสินเชื่อพรีไฟแนนซ์ ดีเวลอปเปอร์มีการกู้เพื่อซื้อที่ดินกับก่อสร้างโครงการ ใช้เป็นเงินทุนหมุนเวียนทั้งค่าการตลาด เงินเดือนพนักงาน ฯลฯ ถ้ายอดขายไม่เดินไปตามเป้าจะมีปัญหาจ่ายคืนเงินกู้ ขณะที่สินเชื่อโพสต์ไฟแนนซ์ถูกตรวจสอบเข้มข้น จนทำให้การยื่นกู้ 10 ราย กู้ไม่ผ่าน 6 ราย

金融機関のローンに関する問題は2種類あるが、これらが今の住宅市場デッドロックの原因となっている。
1つはデベロッパーに貸し出す開発ローンであり、もう1つが住宅を購入する顧客に貸し出す住宅ローンである。
開発ローンの場合、デベロッパーは用地取得費、建設費等の開発費用、そしてプロジェクトのマーケティング費用や従業員の給料等のワーキングキャピタルに使うのであるが、住宅の売れ行きが目標を下回る場合、資金力のないところは返済に窮しデフォルトすることになる。
一方、住宅購入者が借りる住宅ローンも与信チェックが厳しくなっているため、6割が住宅ローン審査に落ちるという状況である。

ในขณะที่ภาพใหญ่ของเศรษฐกิจมหภาคประเมินว่า มาตรการล็อกดาวน์ถ้ากินเวลา 3-4 เดือนจะกระทบต่อการฟื้นตัวทางเศรษฐกิจที่เคยคาดหวังให้เป็น U-shape อาจต้องกลายเป็นการฟื้นตัวในโมเดล L-shape ซึ่งหมายถึงโอกาสฟื้นตัวทางเศรษฐกิจจะทอดยาวออกไปอีก 

ロックダウンが3~4カ月に及べば、これまでU字型回復が予想されていたタイ経済はさらに悪化し、L字型回復になる。つまり、経済の回復はさらに長引き先が見えなくなる。

“ผลกระทบล็อกดาวน์ธุรกิจขนาดกลาง-ย่อมที่มีพลังน้อยอยู่แล้วก็คงจะเหนื่อยอีกรอบ ในส่วนตลาดคอนโดฯปีนี้ไม่คิดว่าจะมีการแข่งกันเปิดโครงการ แต่อาจจะมีสต๊อกที่ดินที่ซื้อไว้แล้วจำเป็นต้องพัฒนาต่อ ซึ่งเป็นการเปิดโครงการเพื่อประคับประคองงบการเงิน แต่ไม่ใช่เปิดเพราะอยากจะแข่งว่าใครใหญ่กว่าใคร ใครมากกว่าใคร”

ロックダウンが中小デベロッパーに及ぼすダメージは特に大きい。彼らは既に体力を消耗してしまっていているので、これ以上の負担には耐えられず、2021年にコンドミニアムの新規プロジェクトを売り出すところはほとんどないであろう。
ただし、既に用地取得してしまっているものについては、新規プロジェクトとして売り出してくるものはあるだろう。しかし、これは他社との競争という前向きなものではなく、資金に窮しているのでどうしても売りたいという、財務上の問題からくるものである。

昨年も別のブログ記事で書きましたが、今年は中小デベロッパーで資金ショートにより建設途中で破綻し、プロジェクトごと銀行に差し押さえされてしまうところが出てくるかもしれません。

そして、私のバブル崩壊時の経験からも、
そういう例が何件も出てくると、次はコンドミニアム市場全体が総崩れするので、今のコロナの問題が解決の見通しが付き、潮目が変わったのを見届けるまでは、しばらく不動産市場には近寄らない方がよさそうです。



それでも2021年のコンドミニアム市場は底堅い?

ロックダウン危機1
恐れていた通りのことですが、サムットサーコーン県のロックダウンと夜間外出禁止で県内やその周辺のホテルやレストランでは、ほとんどの予約がキャンセルとなり、既に10億バーツを超す売り上げが消えてなくなったということです。

そして、遠く離れたパタヤでさえも、年末年始は100%予約が入り、久しぶりにフル稼働が見込まれていたところに、感染が始まってから既に30%の予約がキャンセルされたそうで、やはり、今回の感染爆発はタイ経済全体、特に観光業界にまたも大きなダメージを与えることになりそうです。

それに、規制はまだまだ始まったばかりで、今日からバンコク都内ではマッサージ店、ナイトクラブ、カラオケ等の娯楽施設の閉鎖が始まることから、今後はさらに経済的ダメージが広がりそうです。

2021年市場予測
さて、こんな状況下で、不動産業界からも来年の不動産市場について、住宅購買意欲がまたも落ち込むので政府のサポートに期待しているという記事が出ています。

これは現地のオンライン新聞、プラチャーチャート・トゥーラギットが業界関係者から聞き取りをした結果を書いているのですが、以下がそのサマリーです。

หวั่นล็อกดาวน์สมุทรสาครดับฝันอสังหาฯฟื้นตัวในปี 2564 เป้าตลาดรวมโต 5-10% อาจไปไม่ถึง “คอลลิเออร์สฯ” ชี้ไม่มีโควิดรอบใหม่ คอนโดฯเขตกรุงเทพฯก็อ่วมอยู่แล้ว แนวโน้มตลาดติดลบ 20% ฟาก “AREA-ศูนย์ข้อมูลฯ” ชี้ปีหน้าตลาดทรงตัว นายกอสังหาฯสมุทรสาครเชื่อมั่นรัฐบาลคุมเกมอยู่หมัด ลุ้นมาตรการรัฐ-ดอกเบี้ยต่ำตัวช่วยพยุงตลาด

今回のサムットサーコーン県でのロックダウンがきっかけで、来年は不動産市場が回復に向かうという
夢が消えてしまった。
不動産アドバイザーのコリアーズインターナショナルによると、当初の目標である5-10%の市場成長の達成はまず無理だろうとのこと。バンコクのコンドミニアム市場は既に低迷しているが、来年はさらに20%のマイナス成長になると見込む。
一方、AREA不動産研究所は、市場は既に十分下落しているので、来年の不動産市場はむしろ堅実で、そうは落ち込まないだろうと予想している。
また、サムットサーコーン県の不動産部門の責任者は、政府が今回の感染危機をうまく制御し、金利や市場サポート策の実施で不動産市場全体を支えてくれると信じているとのこと。

私もこのブログで、そろそろ市場は底値圏に達しつつあるので、今後2割も3割も価格が下がるということはちょっと考えづらいということを書いてきました。

そういう意味ではAREAと同じだったのですが、しかし、また新たな感染拡大が起こるということは想定してなくて、今のような状態になってしまえば、コリアーズのいう通り、まだまだ市場が縮小する可能性があり、当然、来年のコンドミニアムの売行きは細り、完成在庫に対するさらなる値引きが出てくる可能性は大いにあるのではないかと思っています。

ロックダウン
先に書いたように、既にホテルやレストランの予約キャンセルが出ていて、その上、バンコクでも娯楽施設の閉鎖が決まり、最悪、来年早々にはタイ全土のロックダウンもありえるわけであり、そうなれば、さすがに不動産市場は無傷でいられるわけがありません。

いずれにせよ、今回の感染爆発をタイ政府がどこまで食い止めることができるかを見定める必要があり、「休むも相場なり」でしばらく様子を見るしかないと思っています。

また、こうなってくると、学生たちも反政府デモはしばらく中断して、少なくとも3月の感染危機を無事に乗り切ったプラユット政権の手腕に協力して、ここはしばらくおとなしくしているべきなのかもしれません。



買い手不在の中、来年も処理不能のNPLが続々と!(その2)

NPL1
さて、BAMは金融機関から買い取ったNPLに抵当として入っているコンドミニアム等を、任意売却で市場で処分して利益を上げるのですが、参考までに、これは彼らが今売りに出している物件の一つです。

APのアスパイアで築8年、36㎡の1ベッドルームです。BTSプラカノン駅からは900メートルとちょっと離れていますが、近くにはバンコク大学があり、学生の賃貸需要が強いところです。

価格についても、270万バーツというのはたしかに同プロジェクト内の他の売物件に比べると割安です。これを投資対象としてみた場合、駅から遠いのでキャピタルゲインはあまり望めませんが、賃貸需要はある地域なので、中長期で賃貸運用するイールドプレイを目的にするのであれば、検討の価値がありそうです。

実は私も2004年に東京の門前仲町にあるマンションを裁判所の競売で落札したことがあります。バンコクに来る直前までの7年間、賃貸で運用した後、買値の5割増で売却できたので、IRR20%近い投資利回りを実現できました。


NPLの処理ビジネスも、銀行等の金融機関から不良債権をまとめて安く買い取って、担保物件を市場価格より安めに素早く売り捌いて儲けるのですが、レベルイールド法というキャッシュフロー重視型の投資であり、まさに時間との勝負なわけです。

従って、なかなか売れない物件の場合、いつまでも持つことはせず、競売にしたり、さらに値下げしてでも売ろうとするので、継続して見ていれば思わぬ掘り出し物件を見つけることも可能です。

さて、タイではこのNPL買取業者で最大手のBAMが、来年も物件は売れないという判断で、金融機関からのNPL買取基準をもっと厳しくするといっているわけですから、処分できないNPLが銀行等に積み上がっていくはずです。そうなると、売れない中古物件により中古住宅市場もさらに下落することになります。

最近のニュースを読んでいると、サンシリ、アナンダ、ノーブル等大手デベロッパー各社が増収増益とぶち上げていますが、それは2、3年前に売り出したプロジェクトの竣工引渡しが今年であったからであり、来期の決算にこそ、本当のコロナの影響が出てくると思います。

従って、BAMのようなところが投売りの処分価格で売り出してくる差し押さえ物件を底値で拾うのはありだとは思うのですが、基本は市場に何か新しい流れが出てこない限り、来年も「休むも相場なり」で様子見を決め込むのが一番だと思います。



買い手不在の中、来年も処理不能のNPLが続々と!(その1)

BAM1
まず、NPLについてですが、これはNon Performing Loanの略です。日本語だと債務者の返済が滞った"不良債権"のことですが、随分昔のことなので、金融機関で働く人ででもなければ、NPLって何だ?と思う人も多いかもしれません。


今から20年以上前のことになりますが、日本の金融機関がバブル崩壊により何兆円ものNPLを抱えて苦しんでいた時に、外資系金融機関がその焦げ付いた不良債権を買い取り、スペシャルサービサーというプロを使って債権回収をしていったおかげで、日本の金融機関はようやくバブルの後遺症から抜け出すことができたわけです。

もっとも、失われた20年といわれるように、日本経済が新たな成長を始めるには、その後、さらに10年の助走期間が必要だったわけですが...。

ところで当時、私はGEキャピタルというアメリカのノンバンクで不動産投資をやっていたのですが、同じ会社で働いていた同僚のアセットマネジャーたちがこの債権回収ビジネスをやっていました。

不動産のアセットマネジャーといっても、私はいわゆるハードアセットと呼ばれる不動産そのものに投資して運用するアセットマネジャーだったので、建築、施工面だけでなく、空調設備や機械式駐車場、エレベータといったエンジニアリング系の方にも強かったのですが、彼らは
バックグラウンドが不動産そのものというより、どちらかというと権利関係や抵当権といった不動産に関する法律に詳しく、登記簿謄本を読んだだけでその物件の歴史を読み解いてしまうというほどのエキスパートたちで、大量のNPLを金融機関から買い取って債権回収をやっていたわけです。

さて、タイでも1997年のアジア通貨危機で大量のNPLが発生したのですが、その際、窮地に陥ったタイの金融機関を救うために政府によって設立され、金融機関からNPLを買い取って不良債権処理をしていったのがこのBAM(Bangkok Commercial Asset Management)です。

しかし、昨日のバンコクポストの記事によると、BAMが買い取ったNPLの担保となっている不動産の売却が進まず、今期の売上は前期比で77%ものダウンとなり、さらに来年も状況が好転する見込みが立たないことから、来年のNPLの買い入れ基準は特に厳格にするとのことです。

ちなみに、同社会長によれば、かなり安く買っているはずのNPLであってもその担保不動産が売れない理由は以下とのことで、今はミドルクラスの購入者層にとって、値段が安くてもコンドミニアムを買える状況にないことがわかります。

“Sales of our assets are very tough because people don’t have money,” said Mr Bunyong. “Some of our debtors are still on debt repayment waivers because of the impact of the pandemic.”

我々にとって不動産の売却が非常に難しくなっている最大の原因は、人々にお金がないことにある。また、買い取ったNPLの債務者の中には、コロナ不況の影響で今も債務返済の免除を受けているものもいる

次回に続く



急ぐな、焦るな、コンドの底値状態は来年も続く!

住宅販売在庫推移1
住宅大手のプルクサーによると、バンコクのコンドミニアムの販売在庫は第2四半期末で9万ユニットとのことです。

販売在庫については、6万ユニットから10万ユニットまでといろんなところが違う数字を出しているのでなかなか掴みにくいのですが、私は基本的に独立系のAREA(Agency for Real Estate Affairs)が一番バイアスがかかっていないと思っているので、彼らの数字を好んで使います。

完成在庫予測
それによれば、販売在庫は6月末時点で90,408ユニットとプルクサーの数字とほぼ同じですが、さらに細かく見ていくと、販売在庫の中で今年と来年に竣工するユニットがまだ5万ユニット以上もあることから、完成在庫は来年末には3万ユニットを超える可能性があると思っています。

After heavy discounts to clear inventory and a sharp decrease in new supply, the Bangkok condo market will likely be in a correction until next year and take a few years to return to normal.
バンコクのコンドミニアム市場は供給過剰状態の調整が来年も続くが、デベロッパーによる在庫一掃の大幅値引と新規供給抑制の努力により、2~3年後には通常の状態に戻る

そしてこれが、昨日のバンコクポストのコメントですが、私もこれが妥当な予想だろうと思います。クーデター後の2014年後半に始まったように、外国人投資家がタイ市場に一斉に戻ってきて買い始めるとか、タイ経済が急回復してミドルクラスの収入が大きく増え、需要が急回復するのでもなければ、少なくとも2021年に需給が大きく改善することはないだろうと思っています。

住宅販売在庫推移2
ただし、これからどこまでも価格が落ちていくこともないだろうと思うので、今のように販売率が極端に落ち込む中、大手デベロッパーが大幅値引きで出してくる物件でこれはというものを見つけたら、来年以降は底値でぼつぼつ拾っていくいいチャンスでもあると思っています。

"Many developers offered discounts and campaigns to attract buyers because they needed cash flow. When their financial status improves, discounts may be unnecessary.
The second half of 2020 should be a recovery period for many sectors in the market, but the key challenge will be the ongoing financial pressure that both consumers and companies have to face"
資金繰りに苦しむデベロッパー各社は、大幅値引や販売キャンペーンで販売在庫処分に注力しているが、今後資金的に余裕が出てくれば、値引幅も縮小していく。
2020年の下半期も調整期が続くが、デベロッパーと消費者双方にとってのこれからの最大の課題は資金手当である。

以前、「危険信号が灯り始めたコンドミニアム市場」でも書いたように、来年は、資金繰りがつかず破綻する、もしくは途中で工事が止まってしまうプロジェクトが出てくる危険もあるので、デベロッパーにとっても正念場だろうと思っています。

一方、収入減で金融機関の与信基準を満たせず住宅ローンが借りられない消費者にとっても資金手当てができないため、解約キャンセルが続いているわけですが、こういう時こそ、もともと現金買いしかできない我々外国人投資家が優位に立てる、Cash is King! の状態が来年も続くことになります。

ところで、著書でも書きましたが、タイの不動産投資は「入口」よりも「出口」のタイミングの見極めと売却方法が難しいので、こういうチャンスにこそ「入口」で安く買っていく必要があります。そういう意味では、来年はじっくり時間をかけて掘り出し物件を探すいいチャンスではないかとも思います。

コロナの影響はあっても、遅くとも
数年後には中国人投資家がまた戻ってくるのはほぼ間違いないと思うし、ミドルクラス向けの住宅も需要自体は大きいので、次第に景気が良くなり、住宅ローンさえつくようになれば需給が締まり動き始めるのは目に見えているので、そういった意味でもバンコクのコンドミニアムは来年、再来年あたりが、底値買いのチャンスだろうと思っています。

ただし、カシコン銀行経済研究所もいっているように、今回の不況はV字回復というよりも、U字回復で時間をかけながら回復するということです。
コロナの経済全体へのダメージがかなり大きいだけに、長い時間をかけて戻ることになりそうです。

従って、不動産市場についても、かつての大洪水やクーデターの時のような一時的な不況による短期リバウンドは、今回は期待しない方がよさそうです。



危険信号が灯り始めたコンドミニアム市場(その2)

住宅引渡推移
これは、REICが出しているこれまでの竣工引渡ユニット数の推移と今後の予想で、オレンジ色がコンドミニアム、青がその他の戸建てやタウンハウス等のネーウラープと呼ばれる低層住宅です。

ここで、少なくとも2020年はあと3か月もないことから、今年の数字はほぼ予測が可能で、今後いくら年末のキャンペーンがうまくいっても限られた期間ではそう大きくは変わらないはずです。

2017国別シェア

ところで、今年竣工したコンドミニアムは3~4年前に売り出されたものがほとんどですが、当時は香港経由を含めて中国人投資家が爆買いしていたこともあり、デベロッパーもいけいけで年間6万ユニット近い大量の新規プロジェクトを売出していたのです。

しかし、今年、それらがいざ竣工引渡となって実際に移転登記がされた物件数(オレンジ部分)が2019年に比べてもかなり減っています。つまり、少なくともその差が、キャンセル等で引渡しができずに完成在庫としてさらに積み上がってしまっていると考えられます。

年末値引きセール
しかも、REICは2021年は第4四半期になると、需要が増えて市場は上向くと予想しているわけですが、コンドミニアム市場が特にコロナの第2波や外国人投資家の動向に大きく影響される特性があることから考えて、1年先の予想はあまりあてになりません。

また、以前「2021年、バンコク住宅市場は回復か大波乱か!」で書いたように、このREICの楽観的予測に対して独立系調査会社のAREAが異論を発表しましたが、どちらが正しいかは来年の半ばぐらいになってやっと先が見えてくるのだろうと思います。

ただ、REICもAREAも共通していっているのは、今は不動産市場全体に危険信号が灯りつつあるということです。

従って、今のような超大型の台風が接近しているようなときに、果敢に底値買いをするつもりで新しく購入したり、誰も買おうとしていない市場で、手持ち物件を無理に売りに出したりするのはやめておいた方がいいということだと思います。

在庫一掃キャンペーン

この絵のように、今、大手デベロッパー各社はこれでもかとばかりに年末の追込みキャンペーンを展開していますが、私には全然興味がありません。彼らの在庫一掃戦略に乗せられて買ったら、来年になってもっと大きな値引が出てきたなどということも大いにありうるからです。

同様に、住宅ローンの与信基準の緩和や税金の減免等が行なわれなければ、タイ人も積極的に買おうとはしないはずで、多分、今回のキャンペーンでも大して売れないと思います。

特にプレビルドの購入予約権などは、万が一デベロッパーが破綻したりして開発を中止してしまえば、その予約契約書はただの紙切れになって、それまでに払ったダウンペイメントも失ってしまうリスクがあります。

私は普通の個人投資家なので、不動産業者のように売買仲介料を稼ぐために、無理にそれでも買った方がいいとか、今は売った方がいいとかいう必要もありません。むしろ、嵐が去って市場が底を打ったと確信できたときに動くので十分間に合うはずだと思っています。



危険信号が灯り始めたコンドミニアム市場(その1)

販売在庫の積み上がり
年初からデベロッパー各社は販売在庫、特に完成在庫の一掃を目標に値引き合戦や、キャンペーン合戦を続けてきましたが、結局、販売在庫は増えるだけで減らなかったという結果になっています。

政府系銀行の不動産調査部門であるREIC(Real Estate Information Center)の発表によれば、大手デベロッパー各社は、年末に向けて特別値引キャンペーン等で消費者の住宅購買意欲を刺激し、販売在庫を一掃しようと懸命であるが、最悪、住宅全体の販売在庫は319,000ユニット、金額にして1.4兆バーツ(約5兆円)にも上る可能性があり、政府や金融機関のさらなるサポートが必要とのことです。

実際、今年前半はコロナの影響もあってほとんど住宅の販売が進まず、上半期の終わりで293,319ユニット、金額で1.32兆バーツ(4兆6,000億円)もの販売在庫が残ったということで、さらにその後に新規で売り出されたものやキャンセルされたものを入れると、最悪の場合、年末にはもっと増えて319,000ユニットもの販売在庫が残るという予想です。ただし、これはコンドミニアムだけでなく戸建て等を含めた住宅全体の数字です。

特にコンドミニアムの場合、この中に占める完成在庫の比率が高くなるので、デベロッパーの資金繰りを圧迫することになり、REICはこのままでは不動産業界全体が危険水域に入ってしまう可能性があるというコメントをしていて、来年の不動産市場はまさに波乱があるかもしれません。

"The key point is the government should start doing something. If the scheme proves successful, other regions can follow this path", said Chanond Ruangkritya, president and chief executive of SET-listed Ananda Development.

アナンダCEO談:外国人投資家誘致のポイントは、とにかく政府がすぐに何かを始めることだ。そして、そのスキームが正しければ、それを見たほかのエリアも後に続く


こんな状況でもあり、学生デモだけでなく、タイのGDPの1割をも占めるといわれる不動産業界からも優柔不断で対策が遅れ気味の政府に不満がたまっていて、以前、「外国人投資家誘致策、とにかく政府は何か始めるべき!」で、アナンダの社長が上のようなコメントで、外国人投資家の激減で苦しむ中、政府の無策に、まずは何か行動を起こしてくれと苦情をいっていました。

また、数日前、大手サンシリの社長もデモに対する政府の強権行使に対し、学生側を援護していましたが、実際のところは、何もしない現政府に対する不満が不動産
業界の一致した意見なのではないかとも思います。

次回に続く



2021年、バンコク住宅市場は回復か大波乱か!(その3)

完成在庫予測
ところで、この表を見るとAREAの調査では、現在の販売在庫である90,486ユニットの内、2020年には22,622ユニットが竣工します。今の販売不振だけでなく既契約のキャンセルも続出する中、2019年以前に竣工している在庫と合わせて約29,000ユニットもある完成在庫が、年末までの半年で急激に減ることは思えず、2021年に入っても依然2万ユニット以上が完成在庫として残っていると思います。

そして、2021年にはさらに28,051ユニットが竣工します。「不動産投資、少なくとも今は「休むも相場なり」が一番」で書いたように、REICも2021年は依然販売在庫が増え続けると予測していますが、完成在庫もさらに増えることになります。

しかも、この表には今後新たに売り出される新規プロジェクトは入っていないので、それらを含めると、実際には2022年と2023年に完成するユニットはもっと増えます。

従って、
AREAが指摘するように、販売在庫ユニット数を正しく把握して新規供給を抑制させなければ、いつまでたっても供給過剰の問題は解決されず、市場回復はさらに遅れることになります。

ところで、先のREICの予想では、販売在庫は増え続けるものの2021年末には住宅市場は回復し始めるというのですが、デベロッパーにとって最も資金負担のかかる完成在庫が増えるにもかかわらず、市況が回復するというのはどうも納得がいきません。

やはり、不動産市場が回復を始めるのには、早くても2022年以降のように思えるし、むしろ、AREAが指摘するように、今も市場が低迷する中、今後さらに一段と市況が悪化するようなことが起これば、途中で開発がストップしてしまうプロジェクトが出てくる波乱もあるという話の方が説得力があるように思います。

タイの住宅不動産の位置

とはいうものの、タイはやはりアセアンの中ではその経済規模や地理的な観点からハブともいえる国であり、その首都バンコク不動産の投資対象としての魅力は、不動産投資で最も重要な指標である平米単価、利回り、そして過去の上昇率を周辺各国と比べた場合にバランスが取れていることだと思うのです。

すなわち、バンコクはデベロッパーによる供給過剰という大きな問題を抱えているものの、国内需要だけでなく外国人需要も大きいので、今後供給を抑えていけば解決できますが、香港やシンガポールのように平米単価が既に高すぎる、カンボジアのように利回りはそれなりに高いものの、経済規模が小さいので不動産市場の規模も小さくて脆弱などと考えていくと、個人投資家にとって、比較的安定したアジアでの適格な投資対象国はある程度限定されてきます。

そこで、これはという投売物件を見つけた場合、底値買いをするのは悪くないとは思うのですが、今の状況では、できれば完成物件を買った方がいいし、開発途上のプロジェクトの購入予約権を買うのであれば、ほぼ竣工が近づいているコンプリーションリスクの小さいものを選ぶべきです。

また、いくら安くても資金的に体力のない中小デベロッパーは、苦しくなってくると手抜工事をしたり施工不良に対するアフターフォローもしなくなるので、評判のいい大手デベロッパーのプロジェクトに絞った方がよさそうです。


もっとも、こんな状況では先が全く読めないこともあり、やはり今は特別なチャンスにでも出会わない限り、無理せず来年までは何もしないことを私はお勧めしますが...。



2021年、バンコク住宅市場は回復か大波乱か!(その2)

販売の内訳
ちなみに、コンプリーションリスクについてですが、日本では国交省がプレビルド、つまりオフプランを認めてないので、購入者がデベロッパーに払った手付金はすべて保全され、こういうリスクはありません。

しかし、これに慣れていない日本人はよく違いがわからないと思いますが、プレビルドとは完成しないリスクであるコンプリーションリスクを取って割安に予約権を買う完成物件の先物買いです。つまり、デベロッパーの開発リスクを一部負担して開発に協力するわけですから、プロジェクトが破綻し中止になってからそんなことは聞いてないといっても仕方がないので注意が必要です。

まさに今起こっているように、最初に割安に買ったからといっても竣工引渡しまでに必ずしも値上りするとは限らず、数年前に値上りを狙って多くの投資家達がプレビルドの購入予約権を買ったものの、市場悪化で値下りした結果、泣く泣く切り捨てることも起こりえます。

この場合、デベロッパーは購入者のダウンペイメントを差し押さえて収益にできるのでまだいいですが、今のように最初からあまり売れなかった場合など、銀行が途中で開発ローンを止めてプロジェクトが破綻してしまうこともあるわけです。

そこで、開発中止によりダウンペイメントを失うことを防ぎたければ、AREAがいっているようにエスクロー口座といってデベロッパーが勝手に引き落とせない口座にダウンペイメントを積むのが安全ですが、政府が動かなければなかなかそうもいきません。

従って、自己居住目的の住宅を買うタイ人には用心深くて完成した物件しか買わない人もたくさんいます。完成物件には日照や通風、間取りの確認、施工面で隅々まで内部をチェックできるというメリットもあります。実際、私もこれまでにバンコクで6物件に投資してきましたが、そのうち、プリセールで買ったプレビルドは3物件で、他の3物件は築浅中古でした。

次回に続く



2021年、バンコク住宅市場は回復か大波乱か!(その1)

AREA対REIC
これは最近、不動産調査鑑定会社のAREA(Agency for Real Estate Affairs)が発表した、現在及び将来のタイ住宅市場での販売在庫に関する予測ですが、政府銀行系の調査機関であるREIC(Real Estate Information Center)が出している数字と比べると大きく違っています。

特に、2020年半ば時点での販売在庫数については、AREAの384,000ユニットに対し、REICは293,000ユニットと24%も少ないのです。その結果、REICの数字は今の過剰供給の問題を過小評価しているため、関係者をミスリードしてしまう危険があるというのがAREAの主張です。

AREAは全てのプロジェクトを調査していったようで、その数字には相当な自信を持っているみたいですが、政府や銀行、デベロッパー等が市場の実態を正しく把握していなければ、もっと販売在庫の処分を促し、新規供給を抑えるべき時に、その判断を狂わせてしまうリスクがあるというわけです。

もっとも、政府系のREICとしては、あまり問題を大きくしたくないということでバイアスがかかっているのかもしれませんが...。

一方、金額ベースでは、今年末及び来年の販売在庫ついて逆にREICの方が多くなっていますが、これはREICが使っている住宅平均価格が140,700ドルと非常に高く、AREAが実際に調査した平均価格117,064ドルより2割も高いのが原因の1つであり、もう一つはREICはデベロッパーが今後も新規プロジェクトの開発を減らすとは想定してないからということです。

販売在庫
そして、何より心配なのは、現時点でのコンドミニアム開発進捗状況です。AREAによれば、コンドミニアムの開発で、既に8割以上完成しているプロジェクトは、大きく市場が崩れても完成させてしまった方が得なので、途中放棄のリスクはあまりないものの、例えばまだ開発が始まったばかりのプロジェクトは、今後市場がさらに悪化したりすると、途中で中止になる可能性があるということです。

例えば、この表の中で現在の販売在庫である90,486ユニットの内、実に22,704ものユニットがまだ全工程の2割以下しか開発が進んでいない初期段階です。従って、9,002ユニットが2022年に、14,478ユニットが2023年に竣工予定であり、もし来年にコロナの第2波等で更なる市場混乱が起これば、建設途中で放棄されるプロジェクトが出てくる可能性があるということです。

コンドミニアムというのは1軒ずつ建てていく戸建て開発などと違って、一旦着工すると全体が竣工するまで工事を止められないので、市場悪化や売れ行き不振で銀行に開発ローンが止められた場合など、途中放棄ということも起こります。実際、1997年のアジア通貨危機の時には、完成されないまま放置されてしまったプロジェクトがいくつもありました。

こうなってしまうと、購入者にはそれまで払ったダウンペイメントは戻りません。これをコンプリーションリスクというのですが、プレビルドにはつきものです。そこでAREAは、最悪の場合に備えて、購入者を保護するためにエスクロー制度の導入を主張してもいるわけです。

次回に続く

不動産投資、少なくとも今は「休むも相場なり」が一番

市場回復時期
最近、政府住宅銀行のリサーチ部門であるREICからこの写真のようなプレス発表があったのですが、いつになったらタイの経済不況が底を打つのか見当もつかない状況なのに、不動産市場が回復を始めるのは来年末だとかいわれても、ほとんど説得力がありません。

外国人の入国規制が緩和されて大幅に伸びなければ、観光客だけでなく、タイのコンドミニアム市場で大きなシェアを持つ外国人投資家も戻ってきません。特に
今のような時期は、どんな投資家も慎重になっているので、物件やロケーションを自分の目で確認しないで海外不動産を買う投資家など、ほとんどいないだろうと思います。

REICもどういう根拠でこんな結論になったのか詳細がわかりませんが、私は
今のような状況では、コンドミアム市場が底を打つのは再来年以降になる可能性も十分あると考えています。

そんなこともあり、このブログでも最近はあまりコンドミニアムに関する記事を書かなくなり、むしろ、もっとマクロ的なタイの政治や経済について多く書くようになってきています。ファンダメンタルズともいえる投資環境がまずよくなってこないことには、不動産市場の回復はないと思っているからで、「休むも相場なり」で様子見とすべき状態がまだしばらく続くと思っています。

だからといって、絶対何もしない方がいいというわけではないのですが、そのためのクライテリアとして、これから竣工を迎えるロケーションのいい物件で、プリセール価格から2割以上安く買える掘り出し物件であるとか、もしどうしても逆張りで不動産投資がしてみたければ、「ハードアセットがダメなら株式市場で不動産投資」で書いたように、今は「出口」がほとんど読めなくなっている現物投資よりも、換金流動性の高い不動産会社の株を買う方がリスクが低いのではないかと思っています。

いずれにせよ、REICの予想のように、少なくとも来年末ごろまでコンドミニアム市場は回復しないという意味では賛成で、今はとにかく、消極的に様子見をするのが一番だと考えています。




2020年下半期、どうなるバンコク不動産市場(その2)

GDP
これは、最近IMFが公表したタイの実質GDP成長率予測です。コロナによるロックダウンや外国人観光客の入国禁止で経済が相当犠牲になった結果、マイナス6.7%と、この分布地図にあるようにベトナムやカンボジア、マレーシアといった周辺ASEAN諸国に比べても大きな落ち込みになりそうです。

ただ、アジア通貨危機の例を見てみると、当時もマイナス7.6%と落ち込んだものの、短期間でリバウンドしたこともあって、コロナ制圧に成功したタイ経済は来年にはリバウンドすると、IMFも考えているようです。

従って、不動産市場も同様に、来年あたりから回復が始まると考えてもいいように思うのですが、外国人が買えない低層住宅と違って、コンドミニアムの場合、外国人投資家が戻ってこないとリバウンドは難しいという市場特性があります。

中国人の人気
そうなると、やはり、今、世界で一番タイの不動産を欲しがっている中国人投資家の動向が、コンドミニアム市場復活の鍵を握っていることになります。

以前、「ノーブルのセールスプロモーションには裏がある?(その1)」の中で、デベロッパー業界の内輪話として、「コロナの影響で、今は中国人バイヤーの動きがほぼ完全に止まっているが、これはバンコクのコンドミニアムに対する需要がなくなったわけではなく、むしろ、中国人バイヤーの間では、タイは世界で一番投資したい国へと人気がさらに上昇している。
 従って、コロナが落ち着けば、以前にも増して中国人投資家が戻ってくる、というのがタイの多くのデベロッパーが描く将来予測であり、ロケーションや間取り等、条件のよい物件は無理に値引きせず、中国人バイヤーが戻ってくるまで温存しておこうと考えるデベロッパーが増えている。
 しかし一方、資金繰りが苦しいデベロッパーは、同時に完成在庫の処分も速やかに進めなければならず、そういう彼らが始めた戦略が、中国人投資家がまず買わないような郊外の不便な物件、そして、都心部でも低層階、間取りが悪い、眺望が遮られているといった、タイ人しか買わないような物件をまず先に格安で処分する」という話を聞いたと書きましたが、デベロッパー各社も中国人投資家が市場低迷の突破口だと考えているわけです。

実際、最近のノーブルのセールの場合、プリセール価格へのリセットはいいのですが、ノーブル・プルンチットは「うなぎの寝床」みたいな間口の狭いユニットが中心、リコールもバルコニーに目障りな柱があるユニット、APのワンワイアレスにしても、1,300ユニットを超す大型プロジェクトでありながら、今回のセールはわずか13ユニットのみで、しかも2ベッドルームは1つもなく、小さい1ベッドルームやスタジオのみであることなどを考えると、
やはり、中国人投資家の再来を手ぐすねを引いて待っているのかもしれません。

それもあって、最近私は、デベロッパーから買うよりも、むしろ、タイ経済悪化の影響をもろに受けて、竣工引渡しが近づいても減収でローンがつかず引渡しに応じられないタイ人や、
急激なバーツ高による予算オーバーやロックダウンで入国できない外国人投資家が、切羽詰まってダウンの投売りをしてくるのを狙う方が、プリセール価格以下での底値買いのチャンスがあると考えるようになりました。

一方、築浅中古を格安で買うというのもありなのですが、既に中古になっているということは、住宅ローンがついて引渡しを受けているので、売主もダウンの投売りのように損切りしてでも処分しなければならないというケースは少なくなります。

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2020年下半期、どう動くバンコク不動産市場(その1)

CBRE予測1
以下は、最近CBREが年初からの市場動向と今後の予測について、デベロッパーや不動産投資家、実需層に対し聞き取り調査を行った結果、出てきたコメントです。

タイバーツ高やLTVのローン規制により、昨年後半から始まった住宅市場の低迷は、今年に入ってやや回復の兆しが見えたが、その後のコロナの影響でまた失速することとなった。

ただし、コンドミニアム以外の戸建てやタウンホーム等の低層住宅市場は、
少なくとも3月までは取引も活発で特にコロナによる大きな影響を受けていなかった。

それが、ロックダウンが始まった4月以降、物件を見にくる客が激減し、低層住宅市場までもが、取引が止まってしまった。

ただ、5月以降、ロックダウンの緩和に伴い、低層住宅市場は回復途上にある。しかし
、コンドミニアム市場については、外国人の入国禁止が続く間、自己居住目的の実需層、及び賃貸運営目的の投資で買うタイ人投資家だけが市場の主役である状況が続く。

ところで、昨年からの市場低迷でデベロッパーが多くの新規供給を延期したため、供給過剰が改善され、需給もバランスしつつある。

従って、今後はまず最初に
第3四半期に入ると、この市場の主役であるタイ人の実需層や投資家層が、今の買い手市場の中、割安な物件を底値買いで購入し始める。

そして、その後、第4四半期には、外国人投資家もタイに入国できるようになると予想され、それに合わせて、竣工物件の引き渡しに応じるために、既に購入していた外国人投資家がタイに戻ってくる。その結果、これまで引渡しが遅れていた物件の移転登記が行われ、売買が完了する。

ただし、コロナ以前の頃のように、新規プロジェクトのマーケットも回復するかというと、それはコロナのワクチンができるまで難しい。

概略はこんなところですが、要するに、年内に外国人投資家が戻ってきて、リバウンド的な力強いコンドミニアム市場の回復が起こるかといえば、それはまず望めないということだと私は思います。

次回に続く

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「待つも相場なり」でもう一段安を待て!(その3)

住宅販売在庫
ตลาดอสังหาริมทรัพย์ ร้อนระอุตั้งแต่ต้นปี จากปรากฏการณ์การนำสต๊อกเก่า หน่วยหลุดดาวน์ ทิ้งโอน หมุนเวียนจัดโปรโมชัน ลดแลกแจกแถมดัมพ์ราคาขายใหม่ เพื่อนำเงินสดที่ได้สร้างสภาพคล่อง ชำระหุ้นกู้ที่ครบกำหนดในปีนี้ประดังเข้ามา มองว่าไม่ง่ายนักสำหรับการระบายออกได้รวดเร็วกลางกระแสเชี่ยวโควิด-19 ที่รุนแรงขึ้น เนื่องจากกลุ่มลูกค้าที่มีกำลังซื้อ เพียงกลุ่มเดียวและไม่มากนัก หากเทียบกับความเสียหายบนซากปรักหักพักของธุรกิจ คนตกงาน ซึ่งเป็นกลุ่มสร้างตัวเรียลดีมานด์เดิม 

これはターンセータギットに載った記事ですが、ここに書いてある内容は以下のようなものです。

「今、3,000億バーツ(1兆円)もの住宅販売在庫を抱える不動産業界は
販売在庫の一掃に必死であり、年初から竣工引渡し促進のためのプロモーション、価格の見直し、そして投売りなど、異常な競争が続いている。
 というのも、今年は多くのディベンチャー(社債)が償還期限を迎えるため、手元流動性が必要だからである。しかしながら、コロナの影響が続く中、デベロッパー間の競争も激しく、なかなか在庫が掃けない。
 一方で、当初唯一頼りとしていた自己居住目的の実需層による購買意欲も、コロナによる失業や減収懸念からほとんど消えてしまっているのが現状である」。


資金不足
そんなお先真っ暗な中、まず第2四半期だけで業界全体で総額780億バーツ(2,500億円)もの社債償還期限を迎えるというのです。

特に、準大手や中堅デベロッパーについては、社債のロールオーバー(借り換え)に必要な資金手当てを金融機関が断ってくる可能性があるとのことで、もしそうなった場合、破綻するデベロッパーが出てくる可能性も十分あります。

資金繰り状況
これは、スパライ、サンシリ、プルクサー、セナの大手デベロッパーの資金繰り状況です。各社ともコメントで資金繰りは問題ないようなことをいっていますが、今の時点で社債の償還に応じる資金手当てがついてないなどというはずもなく、大手でさえ実際にはその時になってみなければわかりません。

また、準大手以下のもっと小さいところは追加担保がなければ融資に応じないと銀行にいわれているようで、資産に余裕がないところはいよいよ大変だろうと思います。

いずれにせよ、少なくとも今年一杯はコロナの影響によりタイ経済全体が不況となるのは間違いなく、住宅の購買需要が持ち直すとは思えません。

年内償還総額
一方で、そうこうしているうちに第3四半期、第4四半期と社債の償還期限が次々にやってくるので、デベロッパー各社は一層の在庫販売努力、つまり値下げに動くはずです。そして、当然、それに伴って、中古相場も下がります。

しかし、コンドミニアムの完成在庫だけで30,000ユニット、建設中のものも入れると100,000ユニットの販売在庫といわれている今、簡単に一掃できるはずもありません。

従って、本当の底値買いのタイミングはもう少し先だと思うのです。

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「待つも相場なり」でもう一段安を待て!(その2)

ベストタイミング
実は4月20日に、こんな内容の記事が英字紙The Nationに載りました。この執筆者は私と同じく「デベロッパー在庫処分値引きの実例(その3)」で紹介した経済紙ターンセータギットの記事を取り上げていて、デベロッパー各社が在庫一掃の特別値引きを始めた今こそ、コンドミニアムはいよいよ買いのタイミングなのではないか、と考えているようです。

しかし、前回にも書いたように、私は全く違う考えで、まだまだマーケットは悪くなると見ているので、もう一段安を待った方がいいと考えているわけですが、あと半年もすればどちらが正しいかわかると思います。

日本のマンション市場
ちなみに、東京の住宅市場に関しても状況は同じようです。コロナの影響でオリンピックも延期されたし、これから世界的な不況がくることから、21日のプレジデントオンラインの記事によると、今は
「底なし沼」状態ということです。

これによれば、「新築マンション・一戸建て販売はほぼストップといっていい。三井不動産レジデンシャルや住友不動産・三菱地所レジデンスは一部を除いて新築マンションモデルルームなどの販売拠点を閉鎖している」ということですが、これはバンコクも同じで、販売事務所に客がやってこないのでオンライン特別値引と銘打って、ネットで広告をしているわけです。

しかし、バンコクの場合、供給過剰により30,000ユニットものコンドミニアム完成在庫があることから、状況はもっと深刻であり、
買いのチャンスはまだまだ先だと思っています。

コロナ後の経済

ところで、今回、コロナが不動産市場にも大きな影響を与えていますが、コロナウイルスは今後も長期間なくならないといわれていることもあり、世界ではこれからますますデジタルによるリモートワークが増えてきます。

もともとタイ人は大企業で働くよりも、自由に働くことに重きを置くところがあります。だから、自分で起業したり、フリーランスで働く人が多く、コーワーキングスペースやシェアードオフィスがシェアを延ばしてきました。

そして、今回のコロナ騒動で多くの企業がテレワークを実施したところ、これがサービス業の管理部門などではうまく回ることがわかってきたとのことで、今後はクラウドを使ってのサテライトオフィスや在宅での勤務に拍車かかります。

オフィス需要
そうなると、住宅に対する価値観も変わってきます。これまで、職住接近と駅に近いことがコンドミニアム購入の最優先項目であったのから、むしろ生活利便性が重視されるようになり、ショッピングモールが近い、病院が近いなどの重要度が高まってくることになります。

私など、最近のパタヤのコンドミニアム市場がバンコク同様に崩れているのを見て、これからデベロッパーの資金繰りがますます苦しくなるにつれて、さらに販売価格も下がるように思います。

そういうチャンスがあれば、ナクルアあたりで海が一望できる50㎡ほどのコンドミニアムをセカンドハウスとして買い、1カ月の半分ぐらいはそこでこのブログを書いたり、ゴルフをしたりして過ごすのもいいと考えるようになりました。

そして、リモートワークが一般的になれば、たぶん、タイ人アッパーミドルクラスも私と同じことを考えるような気がします。

それに、将来、バンコクから高速列車が走るようになれば、パタヤはもっと身近になり、投資先としても面白いと思います。


では、次回は各デベロッパーの資金繰り面での今の窮状について書いてみたいと思います。これが悪くなればなるほど、我々にとってはコンドミニアムが安く買えるチャンスがあるわけですから目が離せません。

次回に続く

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「待つも相場なり」でもう一段安を待て!(その1)

アナンダの値下げ攻勢
ここ数日、頻繁に目につくアナンダのセールスプロモーション広告です。しかし、2年間タダで住めるとか、最大300万バーツ(1,000万円)の値下げとかは、前回のブログ記事で紹介したように、他社でもオンラインでプロモーションを展開しているところであり、あまり魅力を感じなくなってきています。

むしろ、この広告からわかるのは、アナンダも現在、32ものプロジェクトで完成在庫を抱えているということであり、金額とかユニット数まではわかりませんが、これらに現在建設中のものを入れた昨年末の販売在庫が200億バーツ(670億円)以上あり、そして最近売出したラーマ9のアイディオなどの新規プレビルドなどを入れると、たぶん、相当な資金負担だろうと思います。

ところで、これまで紹介してきたアナンダも、ノーブルやメージャーも、都心部の駅近でロケーションのいいプロジェクトが多いという共通点があるのですが、大きな違いは資金繰り状況ではないかと思います。

corona 3
アナンダは昨年末の負債資本比率も1.64とそれほど高くなく、それもあって最近、ディベンチャーファイナンスで40億バーツ(130億円)の資金調達ができたようなので、当面は手元資金に余裕があると思います。

従って、この中にもし自分の気に入ったものがあったとしても、今は飛びつかない方がよさそうです。あと数カ月モニターしていれば、納得できる価格まで下がってくるかもしれません。

一方、ノーブルやメージャーはもっとぎりぎりの値下げを出してきているので、そういう意味では「今や買ってはいけないバンコクのコンドミニアム(その3)」の表で赤枠で囲った7社の完成在庫や特別セールなどは調べてみる価値がありそうです。

ところで、つい今年初めまで私はこのブログでも、これだけ都心部が値上りしてしまったら、プラカノーン以遠のフリンジやミッドタウンの方が、これからは投資妙味があるということを書いてきました。

特に、トンローやプロンポンのプレビルドは30万バーツ/㎡を超すプロジェクトばかりになった結果、将来の値上がり分をも先取りしてしまったので、これから数年はプラカノンからウドムスクあたりの方が面白いと考えていたし、著書でもそう書きました。


しかし、予想外であったこのコロナの影響で状況が変わりつつあると考えています。

リセッション
先日寄稿した「コロナが直撃、タイ不動産市場は暴落の危機へ」の中で書いたように、タイの不動産市場はますます状況が悪くなっていきます。

また、最近のブルームバーグの予測でも、アメリカ経済は向こう12カ月以内に100%の確率で大きなリセッション(経済不況)がやってくるということですが、これはタイも同じです。

そして、前回紹介したターンセータギットの記事にあるように、既に今のコンドミニアム市場の状況は12年前のリーマンショックを超えていて、23年ぶりの不況、すなわち、トムヤムグン危機以来だというのです。


ここまでくると、当面は「待つも相場なり」で見送りが一番ですが、次第に底値買いのチャンスが近づいてきているのも事実です。

どこで底を打つかはわかりませんが、もし、いくつかのデベロッパーが破綻し始めるようなことがあれば、その時こそは間違いなくチャンスです。

次回に続く

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3つのリサーチ会社が不動産市場の大幅ダウンを予想

2020市場予測
昨日、タイコンドミニアム市場の暴落危機について、私の考えていることを書いたところですが、偶然、現地の経済紙、プラチャーチャート・トゥーラギットに、タイの著名なリサーチ会社3社による、コロナによるリセッションや消費者購入意欲の減退などを踏まえた上での、現時点の市場予測が出ていたので概略を書きます。

ちなみに、これは以前にも書いたことがあるのですが、この3社はどこもバイアスのないニュートラルな報告をするので、私は個人的には信頼していて、このブログでも頻繁に紹介させてもらっています。

さて、以下にこれら3社の現時点での市場予測をまとめましたが、いずれも値下りが続くハードランディングになる、との厳しい見方をしています。

1.AREA
コロナの影響が始まる以前は、今年の住宅市場は5%から10%の成長と見込んでいたが、コロナ感染が始まった今となっては、15%から20%のマイナス成長と大幅なダウンを予想する。

2.REIC
現在、住宅市場には68,000戸もの完成在庫があり、その内、30,000ユニットがコンドミニアムである。また、コロナの影響により、今年の引渡しは昨年比で、戸数で11%から17%の減、金額で13.8%から17.1%の減になり、完成在庫はさらに増加する。

3.コリアーズインターナショナル・タイランド
今年第1四半期で売り出された新規プロジェクトは、5,880ユニットと過去8年間で最少となった。しかも、販売達成率は、わずか31%と過去10年間で最低となり、市場の縮小低迷は激しい。しかしまだ、3カ月が終わったばかりであり、残り9カ月をデベロッパー各社も戦略を練って乗り切ろうとしているので、今はまだ今後の予想はできない。

大体、こんな感じで、どこも見通しは暗い、もしくはまだ見えてこないというところです。

私としては、REICがここでいっている竣工引渡しの減少予測はどのベースなのかが不明であり、これは単純にタイ人の投資家や実需層のことだけをいっているのではないかと思います。

そもそも、中国人バイヤー等の外国人投資家がどれだけ竣工引渡しを受けずに解約してくるかなど、これからの為替や外国の経済状態にもよるので予測は難しいはずであり、完成在庫がさらに急増する可能性は十分あると思うのです。

では、次回はナイトフランクが今日のレポートで書いている、最近、キャッシュリッチな投資家達が底値買い狙いで買い始めた事例等、マーケットで今何が起こっているかについて見てみることにします。

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リーマンショック時を超える不動産不況がくる(その4)

corona 2ところで、もう10年以上前になりますが、リーマンブラザーズが破綻した時、株式市場は即座に反応して下落したのですが、実は不動産市場にその影響が本格的に出てくるまでに、半年以上のタイムラグがありました。

それから数年間、世界の不動産市場も低迷したのですが、不動産というのは株式のように毎日相場が立っていて即座に売却できるという資産ではありません。

もともと流動性が悪く取引成立までにかなりの時間がかかることから、一旦市場が下落し始めると、ほとんどの買いが引っ込み様子を見始めるので、次の取引成立までに相当なタイムラグが起こります。

すなわち、バンコクのコンドミニアム市場でも、今後しばらくは買い手不在の中、取引がほとんど成立しないままに気配値だけが下がり続けると思うのです。

そして、ほぼ底値と思えるところまで下がりきって、やっと取引が成立し始めるのですが、今はその時がいつになるのかもわかりません


これが不動産の最大の弱点である流動性のなさであり、マーケットが一旦崩れ出すと途中での売却は非常に難しくなるのです。

残念ながら、バンコクのコンドミニアム市場は既にそういう状況になっていて、売物件ばかりが目立ちますが、ほとんど取引が成立していません。従って、完成物件の先物買いである購入予約権を持っている投資家は、まだ解約するという手段が残っているだけ、不幸中の幸いでもあると思うのです。

今のような時期は、たとえいくらかの損切りを余儀なくされても、竣工引渡しによる資金流出を避け、
手元に資金を置いておくべきであり、以前にも書きましたが「Cash is King」です。

corona 3また、これは別に個人の話だけでなく、法人の危機管理のファイナンスの動きを見てもわかります。

アナンダもつい最近、社債を発行して資金調達をしました。表向きは、これからの新規プロジェクトのためとかいっていますが、実態は、今年竣工引渡しがくる大型プロジェクトの、解約による完成在庫増に備えるためだろうと思います。

また、デベロッパーに限らず製造業等でも、世界中で多くの企業がこのところ、社債やコマーシャルペーパーを発行して手元流動性資金を増やしてきています。

しかし、アナンダなどの比較的余裕のある大手はまだ、直接金融市場でこうやって低利の資金調達が可能ですが、「今や買ってはいけないバンコクのコンドミニアム(その3)」の表にある、既に負債比率がかなり高いところや非上場の中堅デベロッパーは効率的な資金調達が難しく、今後の大量解約や販売在庫の積み上がりで破綻するところが出てくる可能性もあります。

もしそうなると、
アジア通貨危機の時のように建設途中で止まるプロジェクトも出てきて、それこそコンドミニアム市場の底が抜けてしまうのですが、今回のコロナによるリセッションは、少なくともリーマンショックの時よりずっと大きいと、私は警戒しています。

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リーマンショック時を超える不動産不況がくる(その3)

観光収入1まず1つ目の「外国人投資家のさらなる減少」ですが、これは、そもそも外国人観光客の減少が今後も続くことが原因です。

今のコロナウイルス感染拡大があと1、2カ月で終わったとしても、世界経済がV字型回復するというようなことは、まず考えられません。

先のタイ航空を始めとする各国のエアラインや自動車産業等、世界中の実体経済が既に影響を被っていることから、今回のリセッションは、
金融業界だけの問題で起こったリーマンショックよりも強烈なはずです。

しかも、アメリカを始め各国政府がこれからとんでもない額の財政支出をしますが、これが全て税金という形で国民の負担になるわけで、この不況は長引くと思います。

いずれにせよ、バブル崩壊やアジア通貨危機の時、当時テフロン経済と呼ばれていたタイでさえも、不動産市場の回復には最低数年を要したことから、大地震があった後の余震が続くのと同じで、今回も少なくとも1年以上、コンドミニアムの値下りが続くと思っています。

さて、この表は2018年の資料ですが、観光収入世界4位の観光立国タイには、昨年4,000万人(うち、1,100万人が中国人)もの外国人観光客が訪れました。

それが(その1)で書いたように、今年は既に2月の時点から観光客は激減していて、今は非常事態宣言により、原則、入国禁止です。
それに、今後、非常事態宣言が解除され、外国人の入国が緩和されることになったとしても、世界経済は既にリセッションに入っているので、やはり観光客は戻ってきません。

そもそも景気が悪くなる場合、一般家庭は海外旅行などという贅沢なものに余剰資金を使うよりも、できるだけ出費を抑えてもしもの時のために備えようとします。海外旅行は最後の最後にしか回ってきません。

従って、中国ではコロナが克服され、普段の生産活動を取り戻し始めたといっていますが、だからといって、すぐにまた1,000万人もの観光客がタイに戻ってくることはなく、その半分でも難しいと思います。


一方、2017年頃をピークに多くの中国人がバンコクのコンドミニアムに投資した理由が、急増する中国人観光客にホテル代わりに貸せば高い利回りで運用できるから、ということであったことを思い出して下さい。

実際、中国人バイヤーのほとんどは
購入した物件に自分では住んでいません。中国人観光客向けの民泊施設として貸したり、中国の旅行会社に借り上げてもらったりしています。しかし、今後、中国人観光客が激減してしまうと、空室状態が長く続くようになり、もう手放そうと投売りが出てきます。

さらに、当時、プレビルドを買った中国人投資家も多くいて、
彼らが2017年から2018年にかけて大量に買ったプレビルドの多くは、今年と来年に引渡し期限を迎えます。その場合、投資として回らないのであれば、購入予約権を損切りして手放すか、最悪、ダウンペイメントを放棄して解約する方がリスクが低いと考えるようになります。

実際、もし私が彼らの立場なら「今や買ってはいけないバンコクのコンドミニアム(その1)」の中で、「これは見方によっては不幸中の幸いだったのかもしれません。最悪、契約キャンセルの場合、それまで払ったダウンペイメントを捨てることになってしまいますが、それ以上の損は被りません。逆にいえば、デベロッパーが今後のマーケットリスクを引き継ぐことになり、彼らは今、これを一番恐れているわけです」と書いた通り、それまでに払った20%から25%のダウンペイメントを放棄してでも、一旦撤退することを選ぶと思います。

そうなると、今でもデベロッパーは負担の大きい完成在庫をかなり抱えているのに、さらに大量の完成在庫が増加するわけで、その資金負担は「今や買ってはいけないバンコクのコンドミニアム(その3)」で書いたように、特に負債比率の高いデベロッパーの経営を圧迫することになります。

もっとも、エンジェル・リアルエステートなどはかなり力のある仲介業者なので、「中国人投資家の激減でブローカーも四苦八苦」で書いたように、それを見越して、大分前からデベロッパーに引渡し期限を半年から1年、延長するように交渉していて、アナンダなどは既に受け入れているようですが…。

中国人バイヤーところでこれは、コロナ感染拡大が問題になる前の1月に、コリアーズが出していた中国人投資家からの資金流入予測を私がグラフにしたものですが、今はもっとひどいことになっているはずです。

今年は投売りや損切り売却によるマイナス、つまり、ネットの資金流出になるかもしれません。


いずれにせよ、かつて外国人投資家購入額全体で3割以上を占めていた中国人投資家の存在感は、今後小さくなると考えるべきです。

そして、中国人投資家が好んで買っていたラチャダー通りやラーマ9通り沿いのプロジェクトは相当な売り物件が出てくると思います。

一方、日本を含め、シンガポールや香港、台湾の個人投資家も状況はほぼ同じです。実は私もそうですが、長期で景気が悪化しつつある場合、投資は一旦手仕舞いし、当面は手元流動性を高めて様子を見るというのが定石です。従って、彼らもしばらくはバンコクの不動産市場には戻ってきそうにありません。

次回に続く

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リーマンショック時を超える不動産不況がくる(その2)

GDP 2020さて、昨年1年間、コンドミニアム市場を低迷させてきた主たる要因は、米中貿易戦争の影響等によるタイ経済の減速、中央銀行の住宅ローン融資規制、タイバーツ高、中国人を中心とする外国人投資家の激減、そして市中銀行の実需層に対する厳しい与信基準等でした。

この中で唯一、バーツ高の問題だけが最近、やや緩和されてきていますが、その他については特に改善しておらず、むしろ、今後悪化する可能性もあります。

そして、今年に入ってコロナウイルスの蔓延という世界経済全体を揺るがす大きな問題が起こり、今後、世界景気のリセッション入りは明らかです。

同様に、タイでも今後、非常事態宣言の影響等が経済面で出てきて、失業率の上昇や家計収入の減少が始まります。

これは、実際に今のバンコクの通りを歩けばわかることですが、スーパーの食料品売り場とコンビニ、薬局以外、デパートも、映画館も、マッサージ屋も人の集まるところは全部閉まっているし、前回紹介したタイ航空の問題だけでなく、トヨタやホンダも工場閉鎖を決めたりと、このバンコクポストの図にあるように、タイの多くの産業がダメージを受けています。

そんな中、タイ中央銀行の2020年のGDP予測は、昨年度比で5.3%のマイナス成長、そしてコロナの影響は来年まで続くという見方をしていますが、実際にはこれでも保守的過ぎて、全然足りないような気さえします。

その結果、今後のバンコクのコンドミニアム市場は、「外国人投資家の減少がさらに続く」、国内のリセッションで国内の実需層住宅需要も伸びずに販売在庫がさらに積み上がり「破綻するデベロッパー」も出てくる、の2つが大きなリスク要因となると思っています。

つまり、バンコクのコンドミニアム市場では、これから価格下落というダウントレンドが長期間続くということです。


次回に続く

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藤澤愼二 ฟุจิซาวะ ชินจิ

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