私もこの方の相談を受けた後、日本のデベロッパーで働いていたころの元同僚で、施工監理を専門にしている1級建築士に意見を聞いてみたのですが、シロアリが発生したということは、コンクリートが相当な量の水を吸ってしまっているので、ここまでなってしまうと、もう一度、フローリングを全部はがしてフロア全体にわたってシロアリ駆除をした後、スラブを乾かしてから新しく張り直すしかないということでした。
また、壁紙も下地に既にカビが生えている可能性がり、その場合、そこもはがしてやり直す必要があるとのことでした。
ところで、コンドミニアムの場合、管理会社がオーナーに代わってビルディング保険をかけているはずです。そして、給排水管は共用部であり、そこからの水漏れによる被害に対しては、保険金が出るはずなのです。
その後、サブロゲーションといって保険会社がデベ相手に損害賠償請求を起こすのですが、コンドミニアムのオーナーはそんなことに関わらずとも、保険金で修復できるのがビル保険のメリットです。
しかし、なぜかこの方の話では、管理会社はオーナーが個人で直してくれというばかりで、取り合ってくれなかったということでした。
詳しい状況がわかりませんが、管理会社がデベロッパーのいいなりの子会社であったのか、もしくは、この件については既に解決済ということで、今さら2次被害であるシロアリ被害については聞いてくれなかったのかもしれません。
いずれにせよ、この方への私のアドバイスは、日本に住むオーナーではこの状況にはとても対応できないし、既に保証期間の5年も過ぎているので、今からデベロッパーを引っ張り出すのも難しい。しかし、郊外物件で購入価格がそんなに高くなかったことが不幸中の幸いであり、早目に見切りをつけて、損切りになっても手放した方がいい、という結論になりました。
それと、さらに怖いのは、一つこういう大きな欠陥工事があるということは、著書で書いたパヤータイの欠陥プロジェクト例のように、他のところにも手抜きがある可能性が高いと思うのです。
「隠れた瑕疵」というだけに、いくら検査のプロでもこれを竣工検査で見つけるのは非常に難しいし、この例のように、大元の給排水管の瑕疵など、区分所有者にはチェックできません。
また、最高級グレードであってもデベロッパーによっては同様の問題を起こしていることから、この手のリスクを少しでも軽減するには、タイ人消費者から信頼されているブランドのデベロッパーを選ぶしか他に方法がないのです。
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