バーツは7年ぶり安値、でも円は20数年ぶり安値
先週、タイバーツが米ドルに対しとうとう7年ぶりの安値になったということで、現地の新聞は大きく扱っています。しかし、今のバーツ安は燃料費や物価高騰をもたらし国民の負担が大きい反面、コロナ禍で疲弊しきった観光産業の復興にとってプラスであり、また、輸出産業にとっても追い風なので、必ずしも悪いことだけとは受け止められていません。
しかし、タイ中央銀行は以前からこれは米ドルの独歩高であり、タイ経済に原因があるわけではないからとマーケットに任せるスタンスだったものの、最近はインフレが顕著となりつつあることから、8月には利上げに動くというのが大方のアナリストの予想です。
“Supporting factors for a stronger baht will be growing numbers of foreign tourists which could exceed our initial estimate of 6.4 million, easing supply disruption, more demands for Thai assets, especially equities from foreign investors to bet on the reopening theme, and finally a weakened US dollar,”
グルンタイバンク
また、上のグルンタイ銀行コメントのように、タイ開国に伴って予想以上に増加している外国人観光客数、サプライチェーン問題の解消、タイ資産への需要増、特に外国人投資家の株式市場への回帰により、今年下半期にはタイバーツは自力でドル安バーツ高へとシフトすると予測しているところもあります。
一方、昨日、日本円はいよいよ1ドル137円台に乗ってきましたが、この円安は20数年ぶりということでありながら、今も日銀は利上げしないと明言しているし、タイバーツと違ってアナリストは誰も利上げが始まると予想してもおらず、これではさらに円安バーツ高が続くと思います。
世界の日本買いが始まる
さらに、マーケットではFRBが前回の75ベーシスどころか、次は100ベーシスもの利上げをするかもしれないという観測が出てくる中、しばらくドル高円安も止まらないと考えた方がよさそうで、一部では1ドルが150円まで行くという説も出ていて、底なし沼状態です。
これは日本全体がバーゲンセールということでもあり、外国人観光客だけでなく、外国人投資家の間でも日本の資産買いに投資妙味が出てきます。
従って、もし私がタイ人富裕層の投資家であったら、多分、日本買いに興味を持つと思います。とはいえ、日本の不動産を買おうとは思いません。すでにマンション価格がバブルのピークを越えてきた中、首都圏のマンション成約件数が今年に入って昨年度比でマイナスになってきているということでもあり、あまり深追いすると天井掴みしてしまう可能性があるからです。
一方、日本株は日経平均がまだ27,000円前後を低迷している状態で割安感があります。これから数年間の中期投資として考えると、株価の値上りだけでなく、為替でも円安バーツ高のメリットを使えるので、投資リスクは低いように思えます。
従って、タイバーツが4円を超えてきたあたりから少しずつ円資産に投資しておけば、中期的に失敗の可能性は低いと思っているので、私もタイで持っているバーツを使って、ミューチュアルファンドで為替ヘッジのない日本株のETFに投資しようと考えているところです。
不動産投資は来年までお休み
一方、バンコクの不動産投資はまだ時期尚早と考えています。やっと底は打ったようですが、200万バーツ以下の一次取得層向けが主に売れていて、こういうのは投資には向かないからです。
しかも、GDPで12%ものシェアを持つ不動産業界の窮状を救うために、裕福な外国人投資家を呼びたがっているタイ政府は、昨日、外国人に1ライ(1,600㎡)までの土地購入なら許可するという方向で審議入りが決まりました。
これは審議の結果次第ですが、もしかしたら、土地への投資も可能になるかもしれず、そうなれば大きくチャンスが広がるので、焦らずじっくり見ていくつもりです。