従って、これを剥がして廃棄し、新たに別の鏡を貼るという予定外の工事にはかなりの追加費用と時間がかかることになり、最初彼女はかなり抵抗していました。
そこで私のとった行動は、その場で出来高払いをストップし、施主としての実力行使に出たわけです。
その結果、最終的にはデザイナーが折れ、当初のプラン通りのものが出来上がりました。
実はこれ以外にも、ビルトインシェルフの設置位置とサイズが変更されていたり、本来ダークミラーを貼るべきところが壁紙になっていたりと勝手な仕様変更やスペックダウンがされていたのですが、一切これらを認めず当初の合意プラン通りにやり直させていきました。
さらに、このドタバタで工期が13日間遅れたので、私は容赦なく当初の合意に基づき、2,000バーツ/日、つまり26,000バーツの遅延ペナルティを彼女に課したのですが、施工監理とは本来そうあるべきです。
もっとも、これまで何回か発注してきているので、彼女にとって私は単なる一見の客ではないことから、私の指図には逆らえないという事情もあったのかもしれませんが…。
いずれにせよ、こういうリファビッシュ(改装)やフィッティングアウト(内装)をコントラクター(インテリアデザイナーといえば聞こえがいいが、ある意味、個人経営の工務店でもある)を使って行うには、工事請負契約で必要な時に施主として腕力をふるえるメカニズムにしておくノウハウが必要であり、これは商業不動産開発の際の施主であるデベと工事業者であるゼネコンとの請負契約に近い一面もあるのです。
さて、いよいよ次回からは「出口」に入っていきます。著書でも書きましたが、海外不動産の売却に関しては、残念ながら日系業者はほとんど非力であり、我々外国人投資家にとって、実はこの「出口」が最も難しいのです。